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THE POWER OF SHUN(April 2021)

目利きが語る“旬”

からだを目覚めさせる 春野菜

春野菜

春に収穫を迎える野菜は、苦みや渋みをもつ個性的なものが多い。春野菜の苦みや渋みは、冬の間に滞りがちな代謝を高め、ため込んだ老廃物を排出する役目をもっていると言われている。今回は春が“旬”の野菜の目利きポイントと、春野菜の旨みを活かしたレシピをご紹介する。

冬を越した植物たちが芽吹く春の野菜

日本の季節の移り変わりをよく表現しているのが、一年を太陽の動きに合わせて24の時期に区分する「二十四節気(にじゅうしせっき)」という暦。植物である野菜の“旬”も、二十四節気とともに変わっていく。

“旬”とはその野菜が最も美味しくなる時期のこと。そしてこの最も美味しい時期とは、露地物の野菜を基準にして捉えている。一つの畑での野菜の“旬”は二十四節気とともに二週間サイクルで変わっていき、南北に長い日本では、野菜の“旬”が徐々に南から北へとリレーしていく。

二十四節気での春は、2月4日ごろの「立春」から始まり「雨水」「啓蟄」「春分」「清明」「穀雨」と5月上旬までの期間を指す。そんな春に“旬”を迎える野菜をご紹介しよう。

菜の花

  • 菜の花の蕾
  • 菜の花の葉

菜の花

菜の花の原産地は中央アジア。日本では千葉県で多く収穫されている。菜の花の“旬”は2月から4月と短い。うかうかしているとあっという間に花を咲かせて種をおとす準備に入ってしまうため、菜の花の美味しさが味わえるこの3ヶ月を逃すわけにはいかない。

“旬”の「走り」の時期はみずみずしくてやわらかい菜の花が味わえる。そして、菜の花の“旬”は「盛り」を迎え、「名残」の時期に近づくにつれて苦みやえぐみも増していくが、その特徴を活かした調理をすることで菜の花の短い“旬”を堪能することができる。

菜の花の目利きポイントは、全体的に淡い緑色したものを選ぶこと。また、「蕾・葉・茎」に分けて見ると、蕾はしっかりぎゅっとしまっているもの、葉は葉脈が左右均等で美しいもの、茎は太くて、軸が真ん中にあるものがおすすめだ。

アスパラガス

  • アスパラガスの鱗片葉
  • アスパラガスの柑橘ドレッシング和え

アスパラガス

芽吹きの季節に美味しくなるアスパラガス。“旬” の時期は、2月の下旬より九州から始まって北上し、5月には北海道産のものが絶品だ。

アスパラガスの目利きポイントは、茎の根元の切り口が正円で、穂先が柔らかくキュッと閉じていて、側面についている鱗片葉(ハカマ)が正三角形で均等に並んでいること。

春は身体が酸味を求める季節なので、柑橘や白ワインビネガーの酸味が良く効いたドレッシングを合わせて食べるのがおすすめだ。

ソラマメ

空に向かって実るソラマメ

  • ソラマメのさや
  • ソラマメ
  • さやをむいているソラマメ

ソラマメ

ソラマメは、さやが空に向かって実るのでそう名付けられたと言われている。

ソラマメは、12~1月頃に鹿児島県から出荷が始まる。その後、愛媛県、茨城県と桜前線のように徐々に産地が北上していき、最後は青森県にまで到達する。

ソラマメの目利きポイントは、さやの表面にうぶ毛がついていると鮮度が良い証拠だ。さやの緑色が濃く、形がぷっくりしていて、さやの外側からも中の実の形が分かるようなものが美味しい。

意外と知られていないのが、薄皮が食べられるということ。さやとの接合部がまだ緑色の若い豆は薄皮ごと食べられ、食感はしっとり。接合部が茶色くしっかり熟した豆は、薄皮が固くなっているため剥いたほうが食べやすく、食感はホクホクとして味が濃い。

おすすめの食べ方は“ソラマメの丸焼き”。さやのまま、オーブントースターやグリルで真っ黒になるまで焼くと、中の豆まで火が通るのだ。塩茹でにする場合は、豆とさやとの接合部に包丁で切り込みを入れる。そうすることで豆の中まで塩味が入り、美味しく食べることができる。さらに知られていないのが、さやの内側の白いワタの部分も食べられる。

ワタの部分は実は栄養がある。豆の接合部がまだ緑色の若い実の場合、スプーンですくってワタごと一緒に食べることがおすすめだ。

タケノコ

タケノコの穂先

  • タケノコの切り口
  • アク抜きするタケノコ

タケノコ

タケノコは、竹の地下茎から伸びる若い芽のことで、「竹のこども」という意味だ。成長スピードは親ゆずりで甚だしく、一日で1メートル伸びたケースもあるという。

“旬”は、一般的に3月の終わりから5月ごろまで。まず九州地方を代表する福岡県から出回り、それから関西、関東と北上しながら産地がリレーしていく。

孟宗竹はえぐみが少なくて身も柔らかくて食べやすい。タケノコの味は栽培された土壌に大きく影響される。とくに福岡の赤土で育ったものはアクも少なく、甘みがあって美味しい。じつは京都もタケノコの産地として有名で、皮色の薄い「白子」は高級品だ。そのほか、孟宗竹に続いて、皮が赤紫がかった「淡竹」や、根元が湾曲した「根曲がり竹」が5~6月ごろに“旬”を迎える。

タケノコの目利きポイントは、穂先が黄色いもので、切り口が瑞々しいものを選ぶことだ。

陽にあたると光合成が進み、穂先が緑色になり皮色も変化していく。そうなるとアクやえぐみが強くなってしまう。黄色い穂先のタケノコはギリギリまで地中に埋まっていたということ。しっかりアク抜きすれば美味しく食べられる。切り口も鮮度の基準。かわいたものより、瑞々しいものを選ぶことが大事だ。

春野菜をたっぷり味わえる 簡単レシピ

ご紹介した春の“旬野菜”を使ったレシピを考案した。苦みや渋みのある菜の花やタケノコ、シャキッとした歯応えが楽しいアスパラガス、ホクホクとして甘みのあるソラマメ。個性豊かな春野菜を贅沢に使った春巻きと春野菜の旨みを余すことなく味わえるエチュベだ。

独特の苦みや渋みから春の訪れが感じられる春野菜。その個性を楽しみながら、食卓に加えてみてはいかがだろうか。