目利きが語る:旬の魚「カマス」を楽しむ

カマス
(取材月: July 2023)
“旬”の食材の魅力を紐解く「目利きが語る“旬”」シリーズ。今回は「カマス」をとりあげる。語ってくれたのは、水産学と江戸前寿司の技術を学び、千葉県鎌ケ谷市で「ねぎお寿司」を営む寿司職人・根岸和也さん。今回は秋に旬を迎えるというカマスの目利き方法と、美味しい食べ方を教えてもらった。

脂の乗った秋のカマス

根岸和也さん

長細い顔と体が美しいカマス。旬は春と秋の2回あると言われており、春に獲れるカマスを「梅雨カマス」、秋に獲れるものは「秋ガマス」と呼ぶことがある。根岸さんいわく、秋のカマスの方が脂が乗って、断然美味しいそう。

「魚の旬の概念は2種類あって、1つは水揚げ量が多い時期、もう1つは食べ頃の美味しい時期を指します。春のカマスは前者の旬で、よく獲れますが産卵期なので身はさっぱりとした味わい。食べるなら、脂ののった秋のカマスがおすすめです。北から南まで広い範囲で獲れるので、手に入りやすい魚だと思います」

<目利きが選んだこの日のカマス>

カマスを背中からさばく

カマスは比較的浅瀬を泳いでいる魚で、小魚を食べるため、口を開けるとしっかりとした歯がついている。一般に市場に出ているものは、ヤマトカマスとアカカマスの2種類あるが、食べるのはアカカマスが一般的。この日は根岸さんが、鹿児島県で水揚げされたアカカマスを用意してくれた。

「カマスの身は旨味があって柔らかく、焼くとふわふわの食感になります。また皮の部分に香りと味があって美味しいので、うちでは“焼き霜”といって、皮目をこんがりと炙ってすぐに冷水でしめてから、刺身や寿司にしてお出しすることが多い。ぜひ皮も美味しく食べていただきたいですね」

カマスの皮

<美味しいカマスの選び方>

脂の乗った美味しいカマスを選ぶには、いくつかの目利きポイントがある。根岸さんに細かく教えてもらった。

カマスの目

「まずは目が澄んでいるもの。血走っていたり濁っていたりするものは、鮮度が落ちている可能性があります。またお腹の部分を触って柔らかい時は、内臓の分解が進んでいるので、張りがあるものの方が新鮮。脂の乗り具合は体の大きさではなく、尾ヒレの付け根と顔をチェックしましょう。厚みがあり、尾ヒレの付け根の部分がぷっくり盛り上がっていれば、よく太っている証拠。また全身に対して顔が小さいものは、それだけ体が大きくなっているということになるので、よく見比べてできるだけ小顔な子を選んでください」

カマスのお腹

カマスの顔の大きさ

<カマスの楽しみ方>

カマス開きの塩焼き

身と皮に強い旨味があるカマスは、皮目をこんがりと焼いてから刺身や寿司に、または開いて干物にしたり、焼き物にしてシンプルに塩で味わうのが美味しい。根岸さんのおすすめは、天然塩と岩塩を混ぜて使うこと。味わいの違う2種をブレンドすることで、味に深みが出るからだ。ふわふわと柔らかい身の食感と皮目の香ばしさ、口の中にじんわり広がるカマスの旨味を楽しんでほしい。

カマス開きの塩焼き

★ おすすめレシピ

カマス開きの塩焼き

カマス

情報提供:ねぎお寿司 根岸和也さん
カマス

“旬”の時期

秋から、9月頃から脂が乗り美味しくなる
*品種や気候、水揚げ港によって異なる。

目利きポイント

① 目が澄んでいるもの
② お腹の白い部分に張りがある
③ 尾ひれの付け根あたりがふっくらしている(脂が乗っている)
④ 体に対して顔が小さい
⑤ 鱗が綺麗
⑥ 口が閉じている

Writer : ASAKO INOUE
 / 
Photographer : YUTA SUZUKI

ねぎお寿司

所在地 千葉県鎌ケ谷市東鎌ケ谷3-2-21
TEL 090-7702-4226
定休日 水曜日、木曜日
営業時間 ランチ:土日月火12:00-14:00、ディナー:金土日月火17:00-24:00(ご予約推奨)
URL https://negio-zushi.jp/

※こちらの情報は取材時のものです。最新の情報は各店舗にお問い合わせください。

一般社団法人大日本水産会魚食普及推進センター

所在地 東京都港区赤坂1丁目9番13号 三会堂ビル8階
TEL 03-3585-6684
URL http://www.suisankai.or.jp/

※こちらの情報は取材時のものです。最新の情報は各店舗にお問い合わせください。

シェア
ツイート

おすすめ記事