目利きが語る:旬の魚「カマス」を楽しむ
脂の乗った秋のカマス
長細い顔と体が美しいカマス。旬は春と秋の2回あると言われており、春に獲れるカマスを「梅雨カマス」、秋に獲れるものは「秋ガマス」と呼ぶことがある。根岸さんいわく、秋のカマスの方が脂が乗って、断然美味しいそう。
「魚の旬の概念は2種類あって、1つは水揚げ量が多い時期、もう1つは食べ頃の美味しい時期を指します。春のカマスは前者の旬で、よく獲れますが産卵期なので身はさっぱりとした味わい。食べるなら、脂ののった秋のカマスがおすすめです。北から南まで広い範囲で獲れるので、手に入りやすい魚だと思います」
<目利きが選んだこの日のカマス>
カマスは比較的浅瀬を泳いでいる魚で、小魚を食べるため、口を開けるとしっかりとした歯がついている。一般に市場に出ているものは、ヤマトカマスとアカカマスの2種類あるが、食べるのはアカカマスが一般的。この日は根岸さんが、鹿児島県で水揚げされたアカカマスを用意してくれた。
「カマスの身は旨味があって柔らかく、焼くとふわふわの食感になります。また皮の部分に香りと味があって美味しいので、うちでは“焼き霜”といって、皮目をこんがりと炙ってすぐに冷水でしめてから、刺身や寿司にしてお出しすることが多い。ぜひ皮も美味しく食べていただきたいですね」
<美味しいカマスの選び方>
脂の乗った美味しいカマスを選ぶには、いくつかの目利きポイントがある。根岸さんに細かく教えてもらった。
「まずは目が澄んでいるもの。血走っていたり濁っていたりするものは、鮮度が落ちている可能性があります。またお腹の部分を触って柔らかい時は、内臓の分解が進んでいるので、張りがあるものの方が新鮮。脂の乗り具合は体の大きさではなく、尾ヒレの付け根と顔をチェックしましょう。厚みがあり、尾ヒレの付け根の部分がぷっくり盛り上がっていれば、よく太っている証拠。また全身に対して顔が小さいものは、それだけ体が大きくなっているということになるので、よく見比べてできるだけ小顔な子を選んでください」
<カマスの楽しみ方>
身と皮に強い旨味があるカマスは、皮目をこんがりと焼いてから刺身や寿司に、または開いて干物にしたり、焼き物にしてシンプルに塩で味わうのが美味しい。根岸さんのおすすめは、天然塩と岩塩を混ぜて使うこと。味わいの違う2種をブレンドすることで、味に深みが出るからだ。ふわふわと柔らかい身の食感と皮目の香ばしさ、口の中にじんわり広がるカマスの旨味を楽しんでほしい。
カマス
情報提供:ねぎお寿司 根岸和也さん“旬”の時期
秋から、9月頃から脂が乗り美味しくなる
*品種や気候、水揚げ港によって異なる。
目利きポイント
① 目が澄んでいるもの
② お腹の白い部分に張りがある
③ 尾ひれの付け根あたりがふっくらしている(脂が乗っている)
④ 体に対して顔が小さい
⑤ 鱗が綺麗
⑥ 口が閉じている