究極のめんつゆ

めんつゆ写真
残暑が続くこの時期、食欲は無いが、何も食べないわけにはいかない。
つい日本人が頼りにしてしまうのが、そば、うどん、冷や麦、そうめん…、決まって麺類ばかりだ。麺を茹でて、蕎麦猪口にめんつゆを注げば出来上がり。
料理が苦手な男所帯でも簡単にお腹を満たせる。

今回、SHUN GATE編集部では「めんつゆ」に、とことんこだわることをお勧めしたい。

「めんつゆ」の歴史は古く、うどんがすでに存在した室町時代まで遡ると言われている。

江戸時代に書かれた「蕎麦全書」の著者、日新舎友蕎子は、精進汁(動物性のたんぱく質を使用しない汁)を好んでいたため鰹節を使わなかったという記述もあり、皆が自分の好みに合わせた「めんつゆ」作りを楽しんでいたことがうかがえる。

日本人の食文化と寄り添いながら進化してきた「めんつゆ」。
その進化の歴史を支えてきたのは、食通の先人達のこだわりと、創意工夫であることは間違いない。

今回は、SHUN GATE編集部が全国各地の選りすぐりの食材を使って完成させた「究極のめんつゆ」を紹介したい。

「究極のめんつゆ」使用食材

「究極のめんつゆ」作りの食材に選んだのは、全国各地から集めた下記の5点。

大分県産 原木乾しいたけ

■ 大分県産 原木乾しいたけ

合わせ出汁の1つ目、しいたけには、乾しいたけ生産量日本一を誇る大分県産の「原木乾しいたけ」を選んだ。海岸から1,791mの高山まで変化に富んだ地形の為、きのこ作りに欠かせない「適度な湿気を含んだ風」に恵まれる大分県。
山間部は様々なきのこが自生するきのこの宝庫であり、しいたけ栽培発祥の地であるという説もある。

短期間に大量生産できる「菌床栽培」のしいたけが多く出回る現代においても、大分県椎茸農業協同組合では昔ながらの「原木栽培」にこだわっている。

「原木栽培」とは、山からクヌギなどの広葉樹を切り出し、しいたけの菌を接種、1年半の間、自然の環境を利用して培養し、その後、スギ林など自然の条件下でしいたけを発生させるという栽培方法で、大変労力がかかるうえ、気候や天気にも左右されやすい。生産にかかる日数は菌床栽培の3倍近くも要する。

それでも大分県のしいたけ農家が、「原木栽培」にこだわるのは、しいたけが原木の栄養分だけで生長することから、農薬や肥料を一切使わずに済むことや、生長に長い時間をかけることで、傘の肉質が充実し、傘の表面に亀裂が入った美味しいしいたけが採れやすくなるという味や品質への情熱からだ。

こうして栽培されるこだわりの「原木乾しいたけ」が「究極のめんつゆ」の礎となる。

問い合わせ
株式会社オーエスケー

http://osk-shiitake.com/

鹿児島県 枕崎産 鰹節

■ 鹿児島県 枕崎産 鰹節

合わせ出汁の2つ目、鰹節には、鹿児島県枕崎産鰹節をセレクト。
鹿児島の南にある人口約2.5万人の小さな港町ながら、古くから鰹節の産地として知られる枕崎。
生産量もさることながら、特筆すべきは、一流料亭からも引っ張りだこの質の高さ。高品質を誇る「本枯節」と呼ばれる鰹節だ。

「本枯節」とは、裸節の状態から、カビ付けと天日干しを繰り返し、丁寧に鰹の水分や油分を取り除いていくという気の遠くなるような作業を 半年以上手間暇かけて作られる鰹節で、プロの料理人も重宝している。

問い合わせ
金七商店

http://kaneshichishoten.jp

北海道 道北地方産 利尻昆布

■ 北海道 道北地方産 利尻昆布

出汁の定番「昆布」選びには苦労した。
全国津々浦々「昆布」は多く、種類も豊富であれば、どれも味わい深い。

今回、選んだ利尻昆布は、しいたけの出汁とも相性がよく、旨味をより一層引き出してくれる。

北海道の最北端、利尻島の沓形浜、礼文島の香深浜、船泊浜などで収穫される。汐の流れ、水温、陽ざし、流れ込む河川の条件、背後にそびえる山、そして広い昆布の干し場などすべての自然環境に恵まれた浜ばかりだ。

塩味がかった上品な味が特徴の、澄んだ香りの良い出汁がとれるため、吸いもの用の一番出汁に最適。京都の料亭でも珍重され、お椀ものや千枚漬け、湯豆腐などによく使われている。

問い合わせ
昆布問屋「吹田商店」

http://www.tsukiji.or.jp/search/shoplist/cat-e/cat-18/201.html

埼玉県川越産 松本醤油店「はつかり」

■ 埼玉県川越産 松本醤油店「はつかり」

ベースとなる醤油には埼玉県川越産 松本醤油店「はつかり」。

文政13年(1830年)に建造されたという蔵の中で発酵を重ねる「もろみ」と、昔からその蔵の中に棲む「蔵酵母」が、伝統を忠実に守る職人技によって、香り高い、しっとりとした自然な甘みを持つ醤油を生み出す。

この松本醤油店は、和食の板前さんや食通の方など多くのファンに愛されている。

埼玉県川越市という江戸時代の町並みを残すこの街で、当時の蔵を用いて造られる松本醤油店「はつかり」。 歴史に裏打ちされた醤油の味が、「究極のめんつゆ」づくりに伝統の深みを与える。

問い合わせ
醤油蔵「松本醤油商店」

http://www.hatsukari.co.jp/

■ 愛知県碧南産 小笠原味淋醸造「一子相傳」

まろやかな風味と爽やかな甘みを与えるのは「小笠原味醂」。

三河みりんの産地として200年以上の歴史をもつ愛知県碧南市に位置する小笠原味醂は、小規模の生産体制のメリットを活かし、「手作業で、本物のみりんをお客様に」をモットーに愚直なまでに丁寧な製造を行う老舗。

1、原料は100%国産米を使用。 2、手造り製麹。 3、自然オリ下げ。 4、加熱処理を行わない。

という決まり事に忠実に、まろやかな風味と甘みで、「飲んでもおいしい」みりんを作っている。 舌に触る嫌味な味は一切なく、糖類を添加したみりんのようなくどい甘さとは違う、醸造による米のまろやかな甘さが、舌の上をスッと通り過ぎて行く。

問い合わせ
味淋蔵「小笠原味淋醸造」

http://www.ogasawara-mirin.jp/

「厳選素材のめんつゆ」完成写真

★ おすすめレシピ

「厳選素材のめんつゆ」

味の決め手は大分県産「原木乾しいたけ」

今回提案する「究極のめんつゆ」作りで味の決め手となったのは、大分県産「原木乾しいたけ」の放つ独特の風味だ。

その香りを生むのは、大分県の原木栽培の特徴である、「裸地伏せ」と言われる栽培方法と乾燥技術と言われている。

「裸地伏せ」とは原木の伐採跡地に、伐採した木を鳥居状に伏せ込み、日光と日陰による気温の変化と空気の流れ、降雨を利用して、しいたけ菌糸が原木に蔓延する条件を作り出す栽培方法。乾燥技術とは、乾燥前のしいたけに含まれた水分量により乾燥温度と風量を生産者が独自に変えること。傘の表面は褐色でつやがあり、傘の裏のひだは黄金色に輝き、芳醇な香りを醸し出すしいたけを作ることができるのだという。

SHUN GATEでは、大分県産「原木乾しいたけ」のおいしさの秘密を探るべく、その栽培現場である大分県のしいたけ農園への取材を予定している。

こうご期待頂きたい。

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