“旬”をあじわう季節のお菓子「トマト」
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今回はトマトの可能性をさらに広げる、美味しいトマトの目利きポイントとお菓子のレシピをご紹介する。
まるでフルーツ。旨みを凝縮した絶品トマト
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多種多様なトマトの品種が生産されているが、暑い今の時期におすすめのものを神楽坂にある八百屋「瑞花」の伊藤店長にお聞きした。
「トマトは梅雨に入ると少し水っぽくなってしまいます。春から梅雨前の初夏の時期は本州産、7月中旬〜9月の時期は北海道産のものが特におすすめです。北海道は梅雨が無いので水っぽくならず、糖度の高いトマトが出来るんです」と、伊藤さんは北海道岩見沢産の“桃太郎なつみ”という品種を紹介してくれた。
美味しい野菜はより健康にも良い

「品質の良い野菜や果物は味が濃いので、料理に使う調味料の量が少なくて済みます。良い素材を選ぶ目を養うと体にも良い影響がありますよ」と伊藤さん。
トマトを選ぶ際の目利きポイントをお聞きした。
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「まずは実がずっしり重く、左右対称に育ったまん丸な実がいいですね。実の裏側に放射状の線が多いと生命力が強く糖度が高い証です。次に見るのはヘタ。緑色が鮮やかで瑞々しく、ピンと張っているものが新鮮です。」生でも甘い実は、加熱した時より一層甘みが際立つそう。
旬の野菜をあえてスイーツで
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トマトの新たな魅力を探りたい。そんな想いでお菓子研究家のmarimoさんのもとを訪ねた。
marimoさんのつくるお菓子は簡単で美味しいだけではなく、ひと目見て思わず歓声を上げてしまうような見た目の美しさも人気だ。
「普段から季節を感じられるレシピを考えることが多いです。“旬”の食材には生命力があるし、何より美味しいので、パワーをもらえる気がします」とmarimoさん。
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北海道産の甘いトマトはお菓子づくりにもぴったりだという。甘みが強いと加える砂糖の量が少なくて済み、さらにトマトの適度な酸味が味が引き締め、美味しいお菓子になるそうだ。
「トマトをそのままカットして使う場合には皮を剥いたほうが口当たりが良くなります。ピュレにして使う場合には、フードプロセッサーで撹拌すると短時間でピュレ状にすることができますよ。さらに加熱して水分を飛ばし味を濃縮させると、他の材料と混ぜ合わせてもトマトの味がいきてきます」とmarimoさんからのアドバイス。
今回は、オーブンや溶けてしまうバターなどを使わず、暑い季節でもつくりやすいお菓子のレシピを考案していただいた。
酸味と清涼感で夏をのりきる
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marimoさんによると、夏のお菓子づくりでは「酸味」と「清涼感」を意識すると良いとのこと。ヨーグルトのようにトマト同様に酸味のある素材は相性が良く、また「色の似た食材は合わせやすい」という法則があるそうで、ベリー類などの赤い食材と組み合わせてみるのもおすすめだ。
「お菓子ができあがったら、ぜひミントやチャービルなどのハーブを添えてみてください。お菓子は暖色系が多いので緑色を足してあげると美味しそうな雰囲気がアップします。それから、冷凍庫で5分ほど冷やしたガラスの器に盛りつけると、アイスが溶けにくく、人におもてなしする時にもおすすめです」と、marimoさんは話す。。
さっぱりとした夏らしいスイーツレシピ。トマトの深い魅力と野菜スイーツの可能性を感じながら、ぜひ挑戦してみていただきたい。