目利きが選ぶ、春から初夏までのお楽しみ「新たまねぎ」
今回は横浜市青葉区にある、旅する八百屋「青果ミコト屋」へ伺い、産地担当の山代徹さんに新たまねぎの特徴や目利き方法を教えてもらった。またお菓子研究家のmarimoさんの「新たまねぎとチーズのスコーン」レシピも紹介。今しか食べられない新たまねぎを味わいつくそう。
芽吹きのパワーがつまった新たまねぎ。葉付きもぜひ食べてみて
新たまねぎとは、収穫してすぐに出荷される若いたまねぎのこと。スーパーで通年見られる褐色のたまねぎは、新たまねぎの皮を乾燥させてから出荷したものといえる。
もちろん品種によって、新たまねぎとして食べるのに向くものと、普通のたまねぎに向くものとが分かれている。新たまねぎとして流通するのは、3〜5月頃に収穫される「白玉ねぎ」などの極早生や早生品種。褐色のたまねぎは「黄玉ねぎ」という品種が一般的で、5月下旬から6月頃に収穫した後に乾燥させてから保存性を高める。
「新たまねぎに限らず、春から出てくるはしりの野菜は道管が太く、水分をたっぷり蓄えています。だから生で食べてもみずみずしく、フレッシュな味わいが楽しめるんです。褐色のたまねぎは旨味が強いのが特徴。同じ野菜でも、はしり・さかり・なごりで味わいが変わるのが、野菜の面白いところです」と、山代さん。
ミコト屋では、ネギのような青々とした葉が付いた新たまねぎ(通称「葉たまねぎ」)が人気だ。毎年5月ごろまでの期間、愛知県・peaceful farmと長崎県・田中遼平さんの2つの農園から届けられる。まさにはしりの時期だからこそ楽しめる春のパワーがつまった野菜だ。
「葉の部分も辛味はなく、さっぱりとした味わい。丸ごと縦にカットしてローストして、オリーブオイルと塩だけで十分おいしく食べられますよ。葉付きの新たまねぎ、見つけたらぜひ食べてみてほしいです」
新たまねぎの目利き方法
山代さんに新たまねぎを選ぶ時の目利きポイントを教えてもらった。
1. 重厚感があり、中身が詰まっている
2. 上から見て形のバランスが良い
3.表皮にツヤがあり、傷みがない
小ぶりなものや円盤のように大きなものなど、サイズの違いは品質にはあまり関係ないと山代さん。それよりも手に持ってみてずっしりと重みがあることと、形のバランスが良いことがおいしく育っている証拠だそう。
また水分が多くて足が早い新たまねぎは、保存方法にも注意したい。
「新聞紙で包んで野菜室に入れておくと、適度に水分を吸ってくれるので安心です。とはいえ新鮮な方がおいしいので、食べる分だけ買って、その日のうちに食べるのがベスト。生で食べるのもいいですが、僕はローストして食べるのが好き。ジューシーで甘味もぐっと引き立つので、新たまねぎの味わいがよく感じられると思います」
朝食やお酒のおつまみにもなる新たまねぎとチーズのスコーン
お菓子研究家のmarimoさんは春になると、普通のたまねぎの代わりに新たまねぎを料理に使うようにしているそう。
「薄くスライスしてサラダにしたり、スープにしたり、春は新たまねぎをメインに使います。普段の料理を新たまねぎで作るだけで甘味が増して、特別な味わいになりますよ。辛味がないからか、2歳の娘も新たまねぎだと食べてくれます」
そんなmarimoさんが教えてくれるのは、新たまねぎの甘味を生かした「新たまねぎとチーズのスコーン」のレシピ。ボウルひとつで気軽に作ることができるのでぜひ作ってみていただきたい。
「生で食べることが多い新たまねぎですが、お菓子に使う時は生地に混ぜる前に加熱するのがおすすめ。甘味が増しますし、余計な水分が飛んで生地がベタつくことがなくなります。今回は甘味を抑えたおかず系スコーンなので、朝食やお酒のおつまみにもぴったり。チーズ好きの方は、“追いチーズ”をトッピングして焼いてもおいしいですよ!」
春の訪れを感じるフレッシュな新たまねぎ。いろいろな食べ方で、今しか食べられない味わいを楽しんでほしい。