ゼロ・ウェイストの町ににぎわいを。地域密着の循環型ビール造り
資源循環システム「reRise(リライズ)」
2003年にゼロ・ウェイスト宣言をしてから、現在も81%のリサイクル率を誇っている上勝町。その精神は「RISE & WIN Brewing Co.」のビール造りや、運営している宿泊施設、レストランでも実践されています。
2年前から取り組んでいるのが、ビールを醸造する時に出るモルト粕を農業に再利用する資源循環システム「reRise」。年間20トン以上出てしまうモルト粕を100%液肥に変換し、ビールの原料である大麦や、レストランで使用する農作物の栽培に使用するという循環型農業を実践しています。
またレストランで使う食材を大きな単位で仕入れてパッケージごみを軽減したり、団体客のBBQでは食材を少量ずつ提供したりすることで食べ残しを減らすなど、ビール造り以外のところでもゼロ・ウェイストを徹底しているそうです。
施設の運営をしながら農業事業を率いる池添亜希さんは、実は他地域から来た移住者。地元の方の支えがあるからこそ農業を続けられるといいます。
「上勝町には『てまがい(手間替え)』という言葉があって、各家が協力しあって手伝う助け合いの精神が昔から根付いています。私が移住に踏み切れたのも、この精神がある町なら子育ても仕事も両立可能だと思ったからですし、実際、私達の畑も麦栽培の先生だったり、水やりをやっておいてくれるスーパーマンみたいな助っ人がいたりと、地元の方々のサポートのおかげで成り立っているんです。私達は町を少しでも盛り上げることで、皆さんへの恩返しができたらと思っています」
美味しいことが一番大切。乾杯するだけでちょっと誰かが助かるビール
現在「RISE & WIN Brewing Co.」で造られている「カミカツビール」のラインナップは10種以上。地元名産の柑橘である柚香(ゆこう)の皮や鳴門金時の規格外品といった、捨てられてしまう食材を使用したビールのほか、フェアトレードやSDGsにつながるコラボビール、売上の一部が寄付されるドネーションビールなどもあります。とはいえ何よりも大事にしているのは、美味しいビールをつくること。
「どんなに意味があっても、美味しいビールじゃないとファンはできないし手に取ってもらえません。だから第一優先は味わい。肩肘張らずに“乾杯!”と飲むだけで誰かの助けになるなど、そういった巻き込み型のコンテンツにできるのがビールの良いところだと思います。だからまずは皆さんに飲んでほしいですね!」
社会的にゼロ・ウェイストへの関心が高まるなか、「カミカツビール」はその先駆者として取り組みを伝えていく役割も担っています。
「今後は私達が一つのモデルとなって、システムや取り組みについて広く伝えていく役割も担っていきたいと思います。実際にゼロ・ウェイストに取り組みたい企業さんから見学に来られる方も多いです。これからもビールを通して、楽しみながらたくさんの人を巻き込んでやっていきたいですね」
美味しく飲むだけで何かに貢献できる。今日の乾杯は、カミカツビールにしませんか?