無脂肪乳やホエイに新たな価値を。GOOD NEWSが製品開発に込めた思い
バターづくりで出る無脂肪乳に新たな価値を
GOOD NEWSは、フードロス対策を意識した加工品開発も手がけています。その代表作ともいえるのが「バターのいとこ」。無脂肪乳を使ったミルクジャムをワッフル生地でサンドした一品です。
那須高原で運営する「GOOD NEWS」内にある「バターのいとこ」の本店をはじめ、東京や北海道にも販売店を構える人気ぶり。今や「那須の新銘菓」とも評されるほどですが、もともとは地元・那須のおいしい牛乳から作った良質なクラフトバターで世の食卓をより豊かなものにしたい、そんな想いから開発されたものでした。広報担当の水野琴美さんは、誕生の経緯を次のように話します。
「バターをつくる過程で大量の無脂肪乳が出ます。原料となる牛乳を100%とするなら、バターは4%ほどしか採れず、残りの約90%が無脂肪乳になります。しかし、無脂肪乳は脱脂粉乳として安価で取引されています。『自分達でバターを作りたいけれどその過程でできる無脂肪乳をどうしたら良いか困っている』。GOOD NEWSの代表が友人である酪農家からそんな相談を受けて『無脂肪乳の価値をもっと高めることができたら、地域の酪農家のみなさんも安定して牛乳を生産でき、バターもつくることができるのでは』と、感じたことから開発がスタートしました」
代表商品である「バターのいとこ」をはじめ、GOOD NEWSが開発した商品を製造する「GOOD NEWS FACTORY」では、製造作業の一部は障害のある人たちが担当しており、就労支援施設としての役割も担っています。生産者・働く人・消費者がつながる「バターのいとこ」。まさに「三方よし」の銘菓なのです。
ホエイに規格外野菜、様々な角度からフードロスを解消
2022年7月の「GOOD NEWS」のオープンに合わせて誕生した「ブラウンチーズブラザー」と「コナとスパイス」も大きな話題を集めました。
「ブラウンチーズブラザー」は、チーズづくりの副産物であるが廃棄されてしまうホエイが主役のスイーツ。牛乳からチーズをつくる過程で大量に生まれるホエイ(約90%)を、煮詰めてできた「ブラウンチーズ」をキャラメルと合わせて厚手のクッキーでサンドしました。「プレーン」と「チョコ」の二種展開なので、食べ比べも楽しめます。
「コナとスパイス」は、地元栃木の小麦粉「ゆめかおり」と11種類のスパイスを効かせた焼きカレーパン。甘メ、辛メ、ゲキ辛の3種それぞれ、とろっと濃厚でヤミツキになる味わい。
採れすぎてしまった野菜や規格外で販売できない食材などを積極的に活用し、生産者さんと共にフードロス削減につながる取り組みを行っています。
「まだ手探りの部分はありますが、今後も“ 食”をテーマに地域の課題を解決する製品開発を進めていく予定です。これからも、那須の観光資源と地域の福祉、農業などを掛け合わせ、誰もが幸せになれる新たな産業づくりにチャレンジしていければ」と水野さん。
生産者の困りごとからはじまったGOOD NEWSの取り組みは、今や地域全体に波及。多くの人の共感を集めながら「持続可能なまち」が少しずつ形づくられようとしています。