夏の日常を楽しくするとっておきドリンク
日本各地でうまれた魅力的な商品が集まる売り場
日本全国から美味しいものを集めた、東京駅構内の地域産品のセレクトショップ「ニッコリーナ」。運営しているのは、食品のコンサルティングから販売までを手掛ける良品工房で、さやかさんの母親である典子さんが1994年に立ち上げた会社だ。地域の生産者から地域産品の開発や販路の相談をうけるなかで、2010年に直営店であるニッコリーナをオープンした。さやかさんは、ニッコリーナの初代店長。母子ともに地域産品に対する愛情はとても深い。
「消費者目線で“美味しくて楽しい”と思えるものをセレクトし、日常の中で自然と地方の特産品を楽しんでもらえるようなお店づくりを心がけています」と、さやかさん。
ニッコリーナ店内には、白田さん親子が各地から選りすぐった商品がぎっしり並んでいる。
今回は、その中から夏におすすめのドリンクにアレンジできる商品を選んでいただいた。
果実の甘味だけで仕上げた「ブルーベリーのことこと煮」
岩手県の内陸部北端・二戸市にある権七園は、りんごを中心にブルーベリーやぶどう、洋梨や桃などを栽培する果樹園だ。二戸市は面積の60%が丘陵地帯のため、「やませ」と呼ばれる冷たい風が吹き込み気温の寒暖差が大きくなる。この激しい気温差が、甘くて上質な果樹を育ててくれる。
権七園でとれたブルーベリーだけでつくられた「ブルーベリーのことこと煮」は、素材本来の美味しさを閉じ込めた贅沢なフルーツソース。
「ブルーベリーは生の状態が一番美味しいので、砂糖を入れずに素材を生かしたかった」と、話すのは、農園主の中里敬さんだ。
権七園のブルーベリーは「ルーベル」という小粒の品種で、味わいが濃厚なのが特長。通常スーパーには早摘みしたブルーベリーが出荷されるが、「ことこと煮」は完熟した実を使うので、瓶の中には一番美味しい状態のブルーベリーがギュッと詰まっている。糖度は30度もあり、柔らかな甘みが感じられる。また蒸気で加熱する減圧釜を使うことで、大事な香りを飛ばさず仕上げることが可能に。中里さんは「ブルーベリーのことこと煮」を通して「二戸市が美味しいフルーツの産地なんだということを全国に伝えたい」と、話してくれた。
【おすすめの飲み方】
白田さんのおすすめの飲み方は、ブルーベリーソーダ。シンプルにソーダで割り、ごろごろ入った実を潰しながら飲むのが美味しい。
中里さんのおすすめの飲み方は、牛乳と合わせたブルーベリー・オレ。甘味が足りない時は蜂蜜をプラスしても。
自家製生姜の香り引き立つ「高知生姜CHAI」
高温多湿で降雨量が多い東南アジアのような気候の高知県は、国内でも有数の生姜の産地として知られる。そんな高知県・吾川郡いの町で生姜農家の傍ら、農産工房やしろを立ち上げた水田かおりさんの自信作は、生姜をたっぷりと使った「高知生姜CHAI」だ。
「生姜をもっと多くの人に楽しんでほしい」とチャイ作りに挑戦。つながりがあった料理研究家にレシピを聞き、配合に工夫を凝らしながら試作を繰り返した。著名なチャイの専門家にもSNSでコンタクトを取ってアドバイスを受け、ついに太鼓判を押してもらえる商品が完成した。
「スパイスはシナモン、クローブ、カルダモン、ブラックペッパーとシンプル。生姜が一番多く入っています」と、水田さん。
生姜はパウダーにして使用。泥や傷を取って煮沸消毒した生姜をスライスし、乾燥機でドライにする。乾燥させると50kgの生姜がわずか4kgになってしまうというから驚きだ。茶葉はコクと甘味のあるアッサムCTCを使うことで、水田さんが思い描いた“異国を旅している気分になれるチャイ”の味わいを表現。生姜の香りは豊かだが、辛味はなく飲みやすい。
「美味しいだけじゃなく使い勝手もいいんですよ」と、白田さん。ティーバッグになっているので計量の手間もなく、誰でも美味しく淹れることができるようになっている。
【おすすめの飲み方】
暑い季節には、清涼感のあるアイスチャイがおすすめだ。電子レンジで抽出することもできるが、煮出したほうが断然味が濃厚に。また牛乳を入れると香りが出るので、煮出したものを一度氷で急冷してから冷蔵庫で冷やすとより美味しいアイスチャイになるという。
また、冷房で冷えた身体には、冷やさずそのままホットチャイもおすすめと水田さん。
自然素材の栄養ドリンク「昔ながらのあまざけ」
“飲む点滴”と呼ばれ、近年流行が続く甘酒。実は「甘酒」は夏の季語で、昔から夏の栄養補給や暑気払いに飲まれていたともいわれている。島根県の醤油メーカー「大正屋醤油店」がつくる「昔ながらのあまざけ」は、流行以前からの定番商品。
「島根県はお米がとれるので、日本酒や甘酒、金山寺味噌など、米麹を使う食文化が発達しているんです」と、教えてくれたのは、営業の森山博己さん。島根県では甘酒のことを「甘粥(あまがい)」と呼び、家のコタツでつくる習慣も残っているそうだ。
「昔ながらのあまざけ」の原料は地元・安来市産の米と、その米でつくった生の米麹。味噌の製造もしている大正屋では、米麹を自社製造している。水に米麹を加えて加温すると発酵が進み、酵素の力でまろやかな甘味と旨味のある甘酒が完成。添加物は一切使用していない。また、粒をすり潰したペースト状になっているため、「夏でもさらりとして飲みやすい」と、白田さん。老若男女が飲みやすく、砂糖の代わりに料理やお菓子づくりに活用すれば栄養満点の甘味調味料にもなる。
ラインナップは白米を使った「あまざけ」と、「玄米あまざけ」「古代米あまざけ」の3種類あるので、好みに合わせて選んでほしい。
【おすすめの飲み方】
白田さんのおすすめはクリーミーな豆乳割りや牛乳割り。なめらかさを生かして、パックのまま凍らせてシャーベット状にしても美味しい。
チョコレートが好きな森山さんのおすすめは甘酒ココア。甘酒に甘味があるので、無糖のココアパウダーを合わせるのがポイント。
鹿児島の黒酢と長野のりんごでつくる「りんご甕酢(かめす)」
鹿児島県霧島市で1805年に創業した重久盛一酢醸造所は、世界的に珍しい「かめつぼ露天醸造法」で黒酢を醸造している。薩摩焼などの甕を使い、自然の力で酢をつくる鹿児島独自の醸造法は、この土地の気候風土だからこそなせる技だ。
「温暖な気候とシラス台地を通ったミネラル豊富な地下水は、お酢づくりに適した原料。米や甕を作る技術もあったことから、鹿児島では江戸時代から黒酢がつくられていました」と話すのは、代表取締役の重久雅志さん。
仕込みは3月中旬〜7月と9月〜11月の年二回。甕に玄米と米麹と地下水を入れ、1年から1年半じっくりと発酵させると黒酢が出来上がる。広い敷地内にお酢を仕込んだ甕が並ぶ光景はユニークだ。
そんな伝統の黒酢と、長野県・白井農園が農薬を使わず育てたりんごをかけ合わせて生まれたのが、「りんご甕酢」。りんごの風味を生かすため、りんごを漬け込んだ黒酢と、りんごを米麹と水で発酵させたりんご酢をブレンドするという手間暇をかけてつくられている。
「農薬を使わない栽培では傷、不揃いなどが出るため、このりんごを発酵酢原料に使えないかという話から実現しました。香料などの添加物は使わないという白井さんと私のこだわりが合致していたので、良い商品ができました」と、重久さん。食欲を刺激するお酢は、夏バテ防止にもぴったりだ。
【おすすめの飲み方】
白田さんおすすめの飲み方は、シンプルにソーダ割りか水割り。ジュースのようにフルーティなので、酸味が苦手な方も飲みやすい。
お酒好きなら、重久さんおすすめのりんご甕酢×焼酎のカクテルを。原料に米を使っているので、特に米焼酎とは相性抜群。またビールに合わせてフルーツビールのように味わうのもおすすめだという。
ニッコリーナエキュート東京店では、今回記事でご紹介した商品をまとめた夏のドリンクフェアを期間限定で開催中。そのほかニッコリーナのオンラインショップでも購入できるので、ぜひ味わってみてほしい。