お酢の概念を変えた「飲む酢・デザートビネガーR」
*パッケージは価格帯によってカタチが変わる場合がございます。
*デザインは時期によって変更の場合がございます。
「飲む酢 弁財天」を実際にSHUN GATE編集部メンバー内で飲んだときの感想を、味だけではなく、見た目など様々な角度から、受け取る側の素直な気持ちも交えてお伝えしておこう。今回はエキスプレ・ス・東京 お酢屋銀座本店のオーナーでありながらも、「酢ムリエR」としても有名な内堀さんのコメントと合わせて紹介する。
豊かな香りとまろやかな酸味
ラベルには「平成27年開運」と記され、見るからに縁起が良さそうだ。しかもご祈祷を受けた酢酸菌を使っているということで、一層のありがたみを感じる。「飲む酢・弁財天」の「柚子」、「国産林檎」、「瀬戸内レモン」の3種類を今回はシンプルに水割りで飲んでみた。
①「柚子」
まずは「柚子」から飲んでみた。口に含むと、柚子の芳醇な香りが鼻を抜けていき、丁度よい酸味とともに口の中に余韻が残る。寒い季節にはお湯割りも合いそうだ。
〜酢ムリエのコメント〜
現在は主に高知県産の柚子を使用しています。海風にほどよく当たった香りの良い柚子を、お酢屋銀座独自の技法で、苦みを出しすぎず、果実味がしっかり感じられるようゆっくりと時間をかけてやさしく絞りました。今年の柚子の酢は非常に出来が良く、柚子の香り高い風味をしっかり味わっていただける仕上がりになっています。
②「国産林檎」
「国産林檎」を飲んでみると、口の中でりんごの爽やかな香りとフルーティな甘さのバランスが絶妙に広がっていく。りんごの甘さと、酢の独特の酸味がやさしく調和がとれており、フルーツジュースとも思えるほど飲みやすい。
〜酢ムリエのコメント〜
すっきりと軽やかな甘さが特徴的な信州の「ふじ」と、蜜がしっかり入ったコクのある甘さが特徴の青森の「ジョナゴールド」の品種をメインに使用しています。普段はどちらか1種類のみなのですが、2種類使用することで、軽さと甘さのバランスがちょうど良くなります。冷たいお水でシンプルに割って、りんごそのものの甘さをしっかりと味わうのがおすすめです。
③「瀬戸内レモン」
さっぱりした酸味の中にも、ほんのりとした甘みを感じることのできる「瀬戸内レモン」。水や炭酸水で割る定番の飲み方はもちろんだが、さっぱりしたこの風味はサラダにかけても合いそうだ。
〜酢ムリエのコメント〜
厳島神社がある瀬戸内地方で作られたレモンを使用しています。日本の風土が育んだ、ほどよい酸味とジューシーな味わいが特徴的な国産レモン。今年の酢酸菌は非常に元気が良く、ゆっくりと時間をかけて、素材そのものの旨みを引き出すことができました。炭酸で割ってさっぱりと、冬場の乾燥対策にもおすすめです。
調味料から嗜好品へ。お酢の新しい世界を開拓
お酢屋銀座本店のお酢は、岐阜県加茂郡八百津町で130年以上続く老舗の内堀醸造で作られている。かつては木曽川の河港として栄えたこの町は、いまでも当時の面影を残す建物と昔ながらの作り酒屋が軒を連ねる風情ある街並みが目に映る。
内堀醸造には創業当時から使い続けているという蔵があり、今回は特別に中を見せていただいた。ひやりと冷たい空気が張りつめた空間に、樫の樽がずらりと並んだ光景は我々を幻想的な気分にさせてくれる。幼い頃からここで育ったという内堀さんに、どのようにして“お酢を飲む”という発想が生まれたのか尋ねてみたところ「最初は飲むことを目的とはしていませんでした」との意外な答えが返ってきた。
「もともと酢には米酢や穀物酢だけでなく、ワインビネガーやモルトビネガーなどの種類も存在していて、プロの料理人の世界では用途に応じて使い分けられていました。しかし、一般のお客様にはほとんど浸透していなかったのです。お酢は、誰でも知っている調味料ですが、“単純に酸味を与えることしか知られておらず、もしかすると、最も使い方が知られていない調味料かもしれない”と思ったのがきっかけです。そこで、もっと一般の人に親しみやすいものにすることで、“お酢の世界が広がるのでは”と思いました」。そうして生まれたのがフルーツの果汁を醸造したお酢だという。
「フルーツの果汁から醸造したお酢と言葉で言っても想像がつかないので、飲めるようになれば、お客様にもその使い方を理解していただけると考えました。最初は“酸っぱい”という固定観念が邪魔をして、なかなかうまくいきませんでしたが、ヨーグルトにかけたり、アイスクリームにかけたり、デザートにも使えるさわやかな酸味があるお酢と伝えたうえで、“まずは飲んでみてください”とご案内したところ、『飲む酢』が一気に広まったのです」。
きれいな水と空気、そこで育つ微生物が重要
お酢のイメージを刷新した「飲む酢・デザートビネガーR」だが、そこに使用されている果実酢の基本的な製造工程は一般的なお酢と同じだという。創業の地と同じ八百津町にある本社工場を見学させていただいた。
「お酢作りで大切なのは『水』と『空気』、そして『そこで育つ微生物』です。八百津町の水は美しく、空気も澄んでいるので、酢を作り出す微生物が活動しやすい環境です」。
内堀醸造では八百津町の本社工場の他に、長野県にアルプス工場を持っているが、このアルプス工場を建てることにした決め手も、八百津町の環境と同様に「水」と「空気」、「微生物」が育つ風土という条件が揃っていたからだという。
とはいえ、「飲む酢・デザートビネガーR」作りには通常のお酢づくりの何倍もの手間ひまがかけられている。
「内堀醸造の理念に“酢造りは酒造りから”とあるように、お酢は酢にするための酒を発酵させることから始まります。このアルコール発酵は酵母が糖分を使って働くことで進むので、糖分を作るためにフルーツを使うことは簡単にイメージできました。ただ、フルーツは一般的なお酒の原料である米や麦などに比べて発酵しづらいものもあり、ゆっくり時間をかけなければなりません。通常の酢と同じ大きさの巨大タンクで発酵させると雑菌がつきやすいため、小さなタンクでじっくりと発酵させていきます。なぜここまでやるかというと、フルーツビネガーは香りが命だからです。そのため、内堀醸造でつくられる一般的なお酢の3000分の1の単位で少しずつつくり、人の手で微妙な温度コントロールを加えながら、時間をかけて丁寧に作っています」。
奥深きお酢の世界をさらに広めるために
最近では「飲む酢・デザートビネガーR」を通して、お酢にはさまざまな味と使い方があることを少しずつ理解してもらえるようになったと実感していると内堀さんは話す。そんな内堀さんに、次なる目標を伺った。
「飲むことから始まったお客様が、常にお酢を側においてくださることです。塩の代わりにお酢を使うとどうなるか、お肉を焼くときにお酢をちょっと垂らすとどうなるか。飲むだけではなく、お酢をいかに料理に役立てるかで、お酢の世界はさらに広がります。私自身、料理が大好きで、お酒を飲みながらお酢を使った料理を研究するのが趣味なんです。酸っぱいだけではない、スパイスとしての酢の使い方をもっと広めていきたいですね」。
黒酢・米酢・穀物酢・果実酢など、様々な種類があり、世界中に存在しているお酢。お酢を知り尽くした「酢ムリエR」内堀さんが作り出した「飲む酢・デザートビネガーR」は、お酢の美味しさを楽しむだけではなく、お酢の魅力や奥深さにも触れることができる一品であり、私たちの日常の料理の幅まで広げてくれる可能性を感じさせてくれた。
お酢の魅力を堪能。エキスプレ・ス・東京 お酢屋銀座本店
お酢屋銀座では、お酢を楽しむ場所作りも積極的におこなっている。東京は銀座にある「エキスプレ・ス・東京 お酢屋銀座本店」。銀座という土地柄から、外国人観光客もお店によく訪れるという。自国で酢を使っている海外の方も、お酢を飲むという新しい概念を打ち出した「飲む酢・デザートビネガーR」をお土産に買っていくことも多いという。
店内には、多くの種類の「飲む酢・デザートビネガーR」を試飲しながら選ぶことができるほかに、カフェも併設されており酢を使ったビールや、酢を使ったスイーツの「酢フトクリーム」など、ここでしか味わえない独創的なメニューが豊富に揃っている。銀座に立ち寄った際は、「エキスプレ・ス・東京 お酢屋銀座本店」でお酢の魅力を堪能してみてはいかがだろうか。