貯蔵で磨かれる遠州フルーツ
![三ヶ日みかん写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/49644c267b2a943d43feb6201eb9c4ed.jpg)
日本最大のキウイフルーツ農園
![平野さん写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/494e6b91896b05be092267186c6c73c6.jpg)
掛川市に位置する日本最大規模のキウイフルーツ農園「キウイフルーツ・カントリーJapan」。野球場およそ3個分、約10ヘクタールにもなる広大な土地では、キウイの栽培や研究のほか、農作業体験や料理教室、ニワトリやヤギといった動物たちとふれあうこともできる体験学習農園がおこなわれている。
迎えてくれたのは農園の代表、平野正俊さん。日本のキウイ栽培の第一人者として知られる人物だ。
「この辺りは、温暖な気候はもちろんのこと、四季のメリハリがしっかりしているので、キウイ栽培には適しています。キウイ栽培においては冬時期にはしっかりと冷える必要があり、その意味で最適の場所なんです」と平野さんは教えてくれた。
![キウイ写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/cb3e1e2a9f793727850149c88d3dbe3c.jpg)
キウイは冬場に5℃以下の環境が200時間ほど必要とされ、そうした環境のなかで樹木が充分に休むことによって春に花がちゃんと咲き、結果、実も美味しくなってくれるのだそうだ。
平野さんが栽培しているキウイは最もポピュラーな酸味と甘みのバランスが良い「ヘイワード」以外に、リンゴのようなかたちの「アップルキウイ」、細長いソーセージのような形の「ブルーノ」、鮮やかな黄色が印象的な「ゴールデンイエロー」など。見た目のみならず酸味や甘みといった味についても実にバラエティ豊かで、それぞれの個性を食べ比べるのが実に楽しい。
キウイの魅力をもっと広めたい
![キウイイメージ写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/0ae3052ee423c766ef6f24739b9a1eb7.jpg)
まだ日本ではキウイが一般的に知られていなかった1970年代、平野さんは、農業留学でカリフォルニア滞在中に初めてキウイに出会った。そして、そのキウイの魅力を日本でも伝えたいと1976年にティースプーン一杯のキウイの種を譲ってもらい、その4年後の1980年、掛川市に広大なキウイ農園を開いた。
「初めてキウイを見たときは、見た目はねずみ色で毛が生えているし、正直、果物といわれても違和感があった。ところが実を切ってみると、綺麗なエメラルドグリーンの色に輝いていて、食べてみると酸味と甘みが凝縮されていて“これは美味しい”と思った。そのギャップに感動しちゃったんだね」と平野さんは当時を振り返る。
![平野さんキウイ写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/519496e21d5ca73f9eebf724c5473bf9.jpg)
以後、いまもなおキウイの栽培を続ける平野さんの願いは開園当初と変わらず、一人でも多くの人にキウイの美味しさを伝えること。そこで平野さんが工夫していることの一つにキウイの貯蔵がある。
キウイの収穫時期は通常10月?11月頃と短いが、平野さんは長年の経験を活かし、収穫したキウイを適切に貯蔵することで、常にキウイ本来の味わいを届けることを実践している。
大量のキウイが品種別に貯蔵される貯蔵庫では、精緻な温度計・湿度計を用いた管理がなされていた。
![キウイを持つ写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/4d7224e9f64d08173806c338fb2e3ab4.jpg)
「収穫後2時間以内、“旬”の状態を保ったまま急速冷凍させるのが肝です。果実自体の温度を下げることで長持ちするようになります。とにかく少しでも温度に異変があったら寝ていていも駆けつけられる体制になっています」。
こうした徹底した管理のもと、キウイ本来の味わいは多くの人へと届けられていく。平野さんのキウイ愛は溢れ、美味しさへの追求は未だ留まることを知らない。
日本を代表するみかんの産地、三ヶ日町
![三ヶ日町写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/da7bf14231d253d0760ff55079151d2d.jpg)
浜名湖の北部沿岸にある三ヶ日町。このエリアは辺り一面がみかん畑に囲まれた、みかん産地だ。ここで収穫されるみかんは「三ヶ日みかん」と呼ばれ、糖度と酸味のバランスがとれた、みずみずしい甘みが特長であり、その品質は市場からの評価も高い。
丘陵地帯が続く三ヶ日町は年間の平均気温が16℃と温暖で、南斜面の日照量が非常に多いことなどから、みかん栽培に適した場所だ。水はけもよく養分が少ないやせた土地であることも、その上で育つ木や枝の過度な生育を防ぎ、果実がより糖分を蓄えることができる。
また、「三ヶ日みかん」の美味しさを構成する要素は自然環境だけでなく、独自に開発されてきた貯蔵をめぐる品質管理技術も見逃せない。
![三ヶ日みかん畑写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/9708b1697239e35798fa8ee3d9c0de01.jpg)
三ヶ日みかんの収穫は通常10月?12月にかけて行われるが、収穫したてのみかんは水分量が多く、そのまま出荷すると傷みやすく日持ちしない。このため、しばらく風にさらして果皮の水分を減らす予措(よそ)という作業をおこなう。こうした作業によって、果皮が締まって、体質が強くなり貯蔵中や流通の過程で果実が傷みにくくなるという。
三ヶ日みかんの品種は主に「早生」「青島」といった種類に大別されるが、そのなかでも皮が厚く長期保存に向いている「青島」はより長く寝かせることで特に甘みが強く出せるという、代表的な品種である。
三ヶ日みかんブランドを創る生産者の探求心
![三ヶ日みかん貯蔵庫写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/dd7a32ced6127c01226246083fe55c50.jpg)
貯蔵現場について知るべく、生産者の髙橋良旨さんを訪ねた。貯蔵庫に案内して頂くと、ちょうど3月に出荷予定の、「青島」のなかでも特に熟成期間が長いブランドみかんの「誉れ」を貯蔵している最中であった。
貯蔵はロジ箱と呼ばれる厚さ10cm程の木箱にみかんを敷き詰め、その箱を何段にも積み重ねておこなう。深い箱を使うと、底の方にある個体がその上に積み重なる個体に押しつぶされてしまうため、浅い木箱を使うのだそうだ。貯蔵に最適な環境は室温が5℃?6℃、湿気が8%ほど。その環境を保ちつつ程よく換気することが大切だという。
![高橋さん写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/959591e76d12eeeba7461b2d370b833a.jpg)
「みかんも人間と同じで呼吸しているんですよ。気持ちのいい空気のもとでないと、みかんもストレスが溜まってしまう。できる限りよい環境にするために、僕ら生産者は、毎年何かしらの反省点や課題を見つけては、それを改善し、さらには向上させるべくために知恵を絞っています」と髙橋さんは話す。
![三ヶ日みかん写真](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/9026a94fc3d329dd9c6005f288174418.jpg)
細部にまでこだわる生産者の情熱が、みかんの甘みに文字通り結実する。日本を代表するみかん産地としての強い自負を高橋さんに感じた。
元来の自然環境を活かしつつ、独自の知恵と技術を駆使して、上質の果物を育てている遠州フルーツ。遠州フルーツの甘い魅力の奥深さは、私たちをさらなるフルーツの虜にさせてくれる。
「キウイ」
情報提供:キウイフルーツ・カントリーJAPAN 平野正俊さん![キウイ](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/4b6e7fa4f9a01698140afbda43a9be54.jpg)
“旬”の時期
収穫時期(9月下旬~12月上旬)から熟度調整を経た10月下旬?3月。
目利きポイント
グリーンよりも茶褐色のもの、また外皮の毛が少なめのものがよい。
「三ヶ日みかん」
情報提供:三ヶ日町農業協同組合 樋田剛久さん![三ヶ日みかん](https://shun-gate.com/wp-content/uploads/2021/05/46acba907cc807c7056ce5eaadda41c7.jpg)
“旬”の時期
11月~3月頃。貯蔵期間によって甘みと酸味のバランスが変わる。
お好みの品種を選んで食べるのがおすすめ。
目利きポイント
軸(ヘタのなかの切り口)が細い方が糖度が高くておすすめ。
美味しい食べ方
段ボールなどで郵送されてくるみかんは、箱を天地さかさまにひっくり返し(ヘタの部分を下にする)、暖房の効いた場所を避け、風通しの良い場所で保存。また加湿を防ぐには、新聞紙をかぶせて保管するとよい。