シェア

THE POWER OF SHUN(June 2020)

目利きが語る“旬”

暑さに負けない栄養豊富な夏野菜

夏野菜

野菜が本来育った環境や植生にあった時期に、のびのびと生長した“旬野菜”は、生命力に溢れ、バランスのとれた姿形でしっかりとした味わいを宿している。

今回は夏に“旬”を迎える夏野菜の目利きポイントと栄養満点な夏野菜レシピをご紹介する。

季節に合わせた役割をもつ“旬”の野菜

太陽の動きに合わせて一年の季節の移り変わりを24に区分する「二十四節気(にじゅうしせっき)」という考え方がある。

「二十四節気」によると、夏の始まる日は5月6日の「立夏」。そこから「小満(しょうまん)」「芒種(ぼうしゅ)」「夏至(げし)」「小暑(しょうしょ)」「大暑(たいしょ)」と、6つの節気に分かれており、概ね二週間ごとに区切られた節は、目に見える形で季節が移り変わっていく姿を私たちにみせてくれる。また、そのサイクルに合わせ“旬”の野菜も、私たちの身体の要求も変わっていく。

暑い夏は食欲が減退してしまったり、大量に汗をかいて水分が不足したりすることで、体力が落ちてしまう時期でもある。そうした夏の身体を元気にしてくれるのが夏野菜だ。

ナスなどのみずみずしい夏野菜は、食べることで水分補給ができ、体温を下げる効果がある。粘りのあるモロヘイヤも喉越しが良く、粘膜を保護する役割や滋養があるので、夏におすすめしたい野菜。

また、夏の暑い時期、特に胃腸が弱っている人は、消化に負担のかかる生野菜よりも煮込んだり焼いたりした料理のほうが食べやすいため、煮込み料理にも合うトマトや、油との相性の良いゴーヤーやナス、ピーマンは夏の食卓にぴったりだ。

そんな夏に“旬”を迎える野菜をいくつかご紹介しよう。

旬野菜

トマト

  • トマトの選び方
  • トマトレシピ

トマト

八百屋やスーパーの野菜売り場の中でもひときわ目立つ赤い色。人気の野菜で一年中流通しているトマトは、春から夏にかけて収穫の最盛期“旬”を迎える。甘みと酸味、旨みのバランスが絶妙で、生でも加熱調理をしても美味しいまさに万能な野菜だ。

トマトは梅雨に入ると少し水っぽくなってしまうため、時期によって産地の味わいも変わってくる。春から梅雨前の初夏の時期は本州産、7月中旬〜9月の時期は北海道産のものが特におすすめだ。北海道は梅雨が無いので水っぽくならず、糖度の高いトマトが出来るという。

トマトの目利きポイントは、まずは実がずっしり重く、左右対称に育ったまん丸な実を選ぶこと。実の裏側に放射状の線が多いと生命力が強く糖度が高い証だ。次に見るのはヘタ。緑色が鮮やかで瑞々しく、ピンと張っているものが新鮮だ。生でも甘い実は、加熱した時より一層甘みが際立つ。

ピーマン

  • ピーマンの選び方
  • ピーマンレシピ
  • 赤ピーマン

ピーマン

ピーマンの原産地は熱帯気候の中南米。元々は唐辛子であったものが、ヨーロッパなどに伝えられる過程の中で姿を変え、辛味種と甘味種に分化された歴史がある。その甘味種に属するのが、ピーマンやパプリカだ。

中南米の気候に近い日本の5~9月の時期が“旬”の時期。

「走り」のピーマンは、頭の部分、胚軸の台座に付いている種が、まだ真っ白で水分がある状態なので、そこも捨てずに食べられるのだそう。

ピーマンの目利きポイントは、淡い緑色をしていることと、頭の軸の周りの部分が張って盛り上がっていることだ。

楊枝で数カ所穴をあけるか、筋目を入れたピーマンを種も丸ごと、多めの油で両面をジュジュッと焼きつけた後、水を加えて蒸し炒めにする。ただそれだけで、種まで味わい深く焼きあがる。

ゴーヤー

  • ゴーヤーの選び方
  • ゴーヤーレシピ

ゴーヤー

ゴーヤーは、古来より中国やインドなどで薬用植物として珍重されてきた。好き嫌いが分かれるあの独特の苦みは、栄養成分「モモルデシン」によるもの。モモルデシンは胃腸の粘膜を保護し、食欲増進などに効果がある。さらに、含まれるビタミンCはトマトやキュウリの約5倍。ゴーヤーのビタミンCは加熱しても壊れにくい、という特長がある。味、栄養面、熱を下げる作用など夏の食材として万能な野菜だ。

ゴーヤーの“旬”の時期は6〜8月。ずっしりと重みがあるもの、表面がしっかりしているもの、鮮やかな緑色のものを選ぶのがポイントだ。

ゴーヤーを使った料理の代表といえば、沖縄の郷土料理「ゴーヤーチャンプルー」などがあるが、「ゴーヤー料理はバリエーションが乏しい」と思っている人も多いのではないだろうか。

ゴーヤーは油と相性が良いので、炒め物に最適。スライスしたゴーヤーとナスをひき肉と一緒に炒めるのもよい。またスライスしたゴーヤとスライスたまねぎ、梅ドレッシングと和えてサラダにするのもおすすめだ。

モロヘイヤ

  • モロヘイヤの選び方
  • モロヘイヤレシピ

モロヘイヤ

アフリカ原産のモロヘイヤはアラビア語で“王様のもの”という意味があり、古代エジプトでは昔から栄養価の高い野菜として重宝されていたという。

モロヘイヤの“旬”は6月中旬〜8月中旬にかけて。収穫できる地域も沖縄県から始まり、梅雨前線のあとを追うように北上していく。

モロヘイヤには、ミネラルの一種であるカリウムやビタミン類が豊富。さらに鉄分も多いので、鉄分不足になりがちな女性に積極的に食べて欲しい夏野菜だ。特長はオクラのような“粘り”で、この粘りが暑さで弱った消化器官や粘膜を保護する役割を持つ。ツルリとした喉越しの良さは、夏バテにもぴったりだ。

モロヘイヤの目利きポイントは、葉がピンと張り、厚みがありながらも柔らかいこと。また、葉の裏にある葉脈が左右対象で美しいこと、色が濃くモスグリーンのような紗のかかった緑色をしていることも注目点だ。

モロヘイヤを調理する際のポイントは、できるだけ細かく刻むこと。そうすることで、モロヘイヤの特長である粘りがしっかりと出て、夏の食欲のない時でも食べやすく、胃腸にも優しい料理になる。

巾着ナス

  • 茄子
  • ナスの種類

巾着ナス

ナスといえば、日本全国どこの家庭の食卓にものぼるポピュラーな野菜だが、なかでも、米どころとして有名な新潟県で、ナスがとても愛されているとは、あまり知られていない。

新潟県が古くからナスづくりが盛んな理由とは。それは米作農家が繁忙期である田植えと稲刈りの合間に栽培することが出来たという背景と、ナスの生育に適した蒸し暑い夏の気候にある。

作付面積が全国トップクラスにも関わらず新潟県産ナスの知名度が低いのは、ほとんどのナスが県内で消費されるため。ナス好きの新潟の人は、まるでイタリア人が様々にトマトを使い分けるように、料理によってナスの種類を使い分ける。

「ヤキナス」はその名の通り焼いて食べるととろみが出て美味しく、「梨ナス」は漬物に最適。そして、しっかりとした甘みがある「巾着ナス」は、蒸かして生姜醤油をつけて食べるのがおすすめだ。皮をむいてラップに巻き、電子レンジで約3分温めるだけでも蒸しあがる。

新潟県の巾着ナスの“旬”は8月頃。身がしまり、もっとも美味しいとされる。目利きポイントは実がパンと張っていて色つやがいいことと、ヘタに鋭いトゲがあることが新鮮な証だ。

夏野菜をたっぷり味わえる 簡単レシピ

ご紹介した夏の“旬野菜”から、トマト、ピーマン、ゴーヤー、ナスを使ったレシピを考案した。栄養豊富な夏野菜をたっぷりと使い、酢を使うことで夏に心配な保存性にも優れた一品だ。

マリネを白身魚のフライと合わせてエスニック風の魚介サラダにアレンジするのもおすすめだ。

冷たいものの摂り過ぎや冷房による体の冷えで胃腸が弱まりやすい時期でもある夏。そんな夏に豊かに実る夏野菜で食卓を彩り、暑い夏を楽しく過ごしてみてはいかがだろうか。

魚介サラダ