“旬”をあじわう季節のお菓子「にんじん」
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今回は、そんなにんじんの“旬”の時期や目利きポイント、にんじんが苦手な方でも美味しく食べられるお菓子のレシピをご紹介しよう。
「今食べてもらいたい」を提案する青果店
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にんじんのことを知るため、東京・赤坂に店を構える「旬八青果店」のバイヤー松根拓乃さんを訪ねた。「旬八青果店」は出来るかぎり産地直送にこだわり、店舗毎にお客様のニーズに合わせた食材を仕入れている。まさに“いま”お客様に食べてもらいたいと思えるものを取り扱っている青果店だ。
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「にんじんは、夏は北海道産が広く出回り、10月後半頃からは千葉県産なども穫れ始めます。旬八の自社農園がある茨城県産の葉付きにんじんもこの頃から出始めますね。秋のにんじんも美味しいですが、春の“新にんじん”も生食におすすめ。とくに徳島県産は甘みが強いですよ」と、松根さん。
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取材に伺った時期は北海道産のオホーツクのにんじんが店頭に並んでいた。季節ごとに様々な産地のにんじんの楽しみ方があるようだ。
にんじんの持ち味を余すところなく
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「にんじんの皮には栄養も甘みも多く含まれるので、気にならなければ家庭では皮は剥かずによく洗ってそのまま食べても大丈夫です」と、松根さん。
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松根さんはにんじんを選ぶ際の目利きポイントを教えてくれた。
「サイズは小さめのほうが糖度が高いといわれています。形は細長いものよりずんぐりとして肩が張っているもののほうが、芯以外の栄養や味が詰まった部分が多くていいでしょう。葉の根元の芯の直径が小さいことが芯が細い目印です。色は濃いもののほうが栄養分は豊富といわれています。側面にある白い線が細かいものも、ゆっくり栄養を蓄えながら育った証拠だといわれています」。
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料理やお菓子に使う際は、ビタミンなどの栄養が流れないよう、茹でずに生のまま使うのがおすすめだそう。
にんじんをお菓子で食べやすくアレンジ
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お菓子研究家のmarimoさんに、栄養たっぷりで大人も子どもも食べやすい、にんじんのお菓子レシピを考案していただいた。
「にんじんは手に入りやすく、生のまま生地に混ぜれば良いので、お菓子作りには最適な素材です。生で食べると多少の青臭さがあるにんじんですが、ケーキ生地に混ぜて焼いてしまうと青臭さが飛んで甘みだけ残るので、にんじんが苦手な方でも食べられると思いますよ」と、marimoさん。
にんじんの水分量も焼き菓子にはちょうど良く、すりおろして混ぜ込んでも生地がべちゃっとせず、ほどよいしっとり感が出るそう。
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「千切りにしたものを生地に混ぜ込むと軽い歯ごたえが食感のアクセントになって、それもまた美味しいです。焼きたてから少し冷めたくらいの、ほんのり温かいものも美味しいし、冷めてからクリームチーズをトッピングして食べるのもおすすめ。クリームチーズの酸味がキャロットケーキによく合い、クリームが加わることで味わい深く口溶け良く食べられます」。
今回は、シナモンパウダーで少しアクセントを加えたキャロットケーキのレシピを考案していただいた。
秋の豊富な食材で楽しむ焼き菓子
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marimoさんによると、徐々に寒さが増してきた季節におすすめなのは焼き菓子だそう。暑い時期には敬遠しがちなオーブンも、部屋が暖かくなり一石二鳥。クリームなどでデコレーションすれば、お菓子のプレゼントにも可能だ。
「完成したキャロットケーキを写真に撮る機会があれば、ホールのままではなく1、2切れカットしてみてください。そうするとにんじんの鮮やかな色の入った断面が見えて、より一層美味しさが伝わると思います」と、marimoさん。
年末年始に向けてイベントの盛り上がるこれからの季節、栄養たっぷりの手づくりキャロットケーキでおもてなしはいかがだろうか。
にんじん
情報提供:旬八青果店 バイヤー松根拓乃さん
“旬”の時期
10月後半から11月後半にかけてが最盛期。
3月頃の春の“新にんじん”も甘くて美味しい。
目利きポイント
小さいサイズのほうが糖度が高いことが多い。
形はずんぐりとして肩が張っていて葉の根元の芯の直径が小さいもの、
実の色は濃く、側面にある白い線が細かいものが栄養分が豊富といわれている。
美味しい食べ方
栄養が流れないよう、茹でずに生のまま食べるのがおすすめ。