伝統と挑戦の味 トマトの創作漬物
初代亀蔵の「京漬物 あい玉限定セット」について、おすすめポイントをご紹介しよう。
契約農家から仕入れる 信頼の野菜
原材料は100%国産にこだわり、野菜も地元京都を中心に信頼できる契約農家から仕入れている。肥料や農薬の使用状況や、野菜の旨みを引き出すための栽培方法なども把握し品質を保つ。また、無添加にこだわり、化学調味料は使わず自然素材のみで優しい味わいに漬け込み、野菜の風味を活かして嫌な後味を残さないように工夫しているという。
固定概念に縛られない「創作漬物」
店の代名詞になったトマトを使ったジュレ漬物。ひんやりと冷たく、フルーティーで甘酸っぱく、暑い季節にもぴったりの贈り物だ。伝統的な京漬物の概念をくつがえす自由な発想は、受け取った方を驚かせ、新しい食べ方を提起するきっかけとなる。
贈り物に最適 保存に適したパッケージ
塩味を控えた漬物商品は、数日程度の短い賞味期限が多く、贈答品としてネックになりやすい。初代亀蔵では賞味期限延長を望む多くの顧客の声に耳を傾け、保存性能の高いスタンドパックを採用し熱処理することで、長い商品(柚子トマト)では賞味期限50日を実現させている。(柚子長芋トマトは30日、あい玉・青じそトマトは8日)
伝統の京漬物屋 苦境からの再スタート
2020年で創業13年目を迎えた「初代亀蔵」は決して順風満帆なスタートではなかった。
始まりは2007年、京都で200年以上の歴史をもつ京漬物屋が倒産したことだった。店の商標は他社に売却され、全従業員が解雇という絶望的な状況のなかで、行き場をなくした漬物職人5人とパート従業員5人で、倒産からわずか1ヶ月以内に新たな会社を立ち上げた。それが「初代亀蔵」だ。
「立ち上げ当初は、長靴と作業着で漬物の仕込みをすることと、社長として挨拶回りに出向くことを同時にやっていたので、ほぼ休みはありませんでした。スーツはあわてて買ったものの靴まで気が回らず長靴のまま出掛けてしまい、途中で革靴を買ったこともありましたね。取引先への挨拶回りに、車でだいたい一日300〜500km走っていました。当時は、若く何も知らなかったから出来たんだと思います」と、話してくれたのは有限会社かめくら(初代亀蔵)の代表取締役社長、西村貴之さん。
西村さんは、通販や直売店での直販に加え、倒産前から取引のあった販売先にも日々、交渉を重ねた。その結果、事業を継続して商品を卸すことができるようになったという。
初代亀蔵の代名詞 トマトをはじめとした創作漬物
初代亀蔵の漬物は、千枚漬けなど定番の京漬物もありながら、漬物としては珍しい食材を使ったものも多いのが特長だ。
甘酸っぱいジュレやトマトを使ったスイーツのような漬物や、かぼちゃやとうもろこしなどを使った洋食に合うピクルスのような漬物もある。過去にはイチゴの漬物を販売し、メディアに取り上げられたこともあった。
創作漬物の原点は、西村さんが京漬物屋での修行時代に女将さんに言われた「お客様に喜ばれる事をする」という言葉だ。
“お客様に喜んでもらえるなら、なにか新しい個性のあるものを”と模索するなかで、一般的に漬物に使われることのない国産野菜を使った創作漬物がどんどん生まれてきた。
「創作漬物は、販売先から素材を希望されることもありますが、まな板の横にたまたま置いてある素材だったり、普段の買い物中や畑を歩いている時、忙しい時、失敗した時などにひらめくことが多いです」と、西村さん。
初代亀蔵の創作漬物の代名詞ともいえる「トマトの漬物」。これも若い頃の失敗から生まれた商品だ。
西村さんが漬物職人として修行していた当時、おばんざい用の湯むきトマトをつくっていた際、誤って漬物調味液のなかに落としてしまった。気づかないまま一晩漬け込まれたトマトを翌日、失敗の証拠隠滅のため食べたところ、美味しくて驚いたことがきっかけだ。
生野菜が苦手な西村さんも初めてトマトが美味しいと感じたという。トマトの青臭さや酸味は適度に取り除きつつ、昆布出汁で旨みとまろやかさが増している。
この経験と女将の言葉を胸に、お客様に喜ばれるなら何年かかってもあきらめずに、失敗を恐れず新しいことに挑戦する。これが初代亀蔵の信念となっている。
現代の食卓にあう 個性的な漬物セット
初代亀蔵の個性的な漬物が詰まった「京漬物 あい玉限定セット」。4種類の商品それぞれをご紹介しよう。
● あい玉
甘みの強い大玉トマトと、太い長芋が1本、丸ごと漬け込まれている。甘酸っぱいジュレの中にゴロゴロと入った刻み生姜が効いた爽やかな一品。(賞味期限8日)
● 青じそトマト
きゅうり、ミニトマト、青じそ、刻み生姜のジュレ浅漬け。夏らしいさっぱりとした味わいで、冷奴や冷製パスタにトッピングするのがおすすめ。(賞味期限8日)
● 柚子長芋トマト
一口大にカットされた長芋とミニトマト、厚めにスライスされた柚子皮の香り高い一品。柚子の柑橘の風味でよりデザートのように感じられ、女性に一番人気の商品。(賞味期限30日)
● 柚子トマト
夏の代表作となった商品。スライスされた柚子がほんのり香り、トマトの旨みとジュレの甘酸っぱさが口いっぱいに広がる。冷凍庫で凍らせてシャーベットのように食べるのもおすすめ。(賞味期限50日)
伝統を継承しながら続く挑戦
偶然から生まれたトマトの漬物はすっかり初代亀蔵の代名詞となり、日本国内でも知られてきた。2019年からはロサンゼルスやホノルルでスポット販売がスタート。将来的には、現地での製造、販売、そして現地で調達した野菜を使って、漬物や惣菜をつくることを目指しているという。
「200年間続いた京漬物屋での職人時代は、野菜に塩をし、重石をのせ、保存食としての製法を伝授されてきました。その技術は大切に今後も継承させていきます。漬物離れが進むなか、漬物に興味を持って頂きたいという思いで創作漬物を生み出していますので、ぜひ気軽に手に取ってみてください」と、西村さん。
苦境から立ち上がった若き漬物屋は、伝統を守りながらも柔軟に勇気を持って、新しい創作に取り掛かる強さを持ち合わせている。今後もどんな新しい創作漬物が生まれるか楽しみにしながら、ぜひ贈り物に選んでみてはいかがだろうか。