伝統を“いま”にアレンジ。粋な万能調味料
*パッケージは価格帯によってカタチが変わる場合がございます。
煎り酒とは、まだ醤油が普及していなかった江戸時代中期まで、庶民の食を支えていた調味料。日本酒に梅干しや削り節などを加え、コトコト煮詰めてつくる優しく上品な味わいは、素材の味を活かした料理に最適。食通の方や料理好きな方への贈り物にもぴったりの一品だ。
「文右衛門蔵」の「煎り酒」について、贈り物としてのおすすめポイントをご紹介しよう。
食通にこそ贈りたい。知る人ぞ知る和の味
現代の家庭では馴染みの薄い煎り酒だが、和食の料理人にとっては、味や色味の淡い食材の料理に現在でも重宝する調味料だ。そんな和の味を家庭でも楽しめるようつくられたのが「文右衛門蔵」の「煎り酒」。食に対してこだわりのある人に贈れば、きっと喜ばれるに違いない。
作り手の技と想いが詰まったこだわりの国産素材
「文右衛門蔵」の「煎り酒」に使われている原材料は、すべてこだわりの国産素材。味のベースとなる出汁には、鹿児島県枕崎産の本枯節、北海道道南産の真昆布、九州産の原木椎茸が使われている。そこにさわやかな酸味を加えるのは、群馬県産の梅干しだ。「煎り酒」にコクを与える赤酢も、東京の歴史ある醸造所のものを採用。素材一つひとつに、人に贈る際に語り伝えたくなる作り手の技や想いが詰まっている。
日本伝統の食文化を未来の食卓へつなぐ
群馬県館林市にある創業140年以上の歴史を誇る老舗醤油メーカー、正田醤油。「文右衛門蔵」は、創業者である三代・正田文右衛門の名を冠して2012年に立ち上げた正田醤油のブランドだ。「文右衛門蔵」の立ち上げから携わっているという吉川雅夫さんにお話を伺った。
「東日本大震災のとき、被災地でお味噌汁やおにぎりを食べて笑顔になる方々の姿を見て、昔からある日本の食は、人の心を優しくあたたかい気持ちにさせると気付かされました。そして、私たちも食の原点に立ちかえろう、日本に古くからある食文化を未来につないでいこうという想いで『文右衛門蔵』ブランドを立ち上げたのです。まずは、日本の伝統的な調味料や出汁から商品化を始めました」。
こうして開発された商品の一つが、江戸の伝統の味を引き継ぐ調味料「煎り酒」だ。煎り酒の基本要素は、「日本酒・梅干し・出汁」の三つ。どれを際立たせるかによって煎り酒の味わいも異なってくるが、「文右衛門蔵」では特に出汁に力を入れたという。出汁に使う鰹節一つとっても、“日本の近海で獲れた一本釣鰹の本枯節”に限定しているというこだわりぶりだ。吉川さんはその理由を教えてくれた。
「巻き網漁で獲った鰹だと、身体がぐっと巻かれることで細胞が潰れてしまうんです。近海ものにこだわるのも、遠洋ものより冷凍されている時間が短いから。実際、食べ比べしましたが、鰹節になったときに本当に味が違うんですよ。それと、本枯節は表面にカビ付けされているのですが、そのまま使ったのではわずかなカビの香りが気になるんです。そこで私たちは、表面を吟醸米のように削って、中心部分だけを使っています。よりすっきりとした味の『煎り酒』にしたかったので、そこまでこだわりました」。
さらに、「文右衛門蔵」の「煎り酒」には、江戸時代の煎り酒には使われていなかったという「酢」が入っている。歴史の味を単に再現するだけでなく、持続可能なものにするために、現代に馴染む味を目指してアレンジしたのだと、吉川さんは話す。使うのは、東京唯一の酢の醸造所、横井醸造工業株式会社がつくる「赤酢」だ。
「横井醸造さんの『赤酢』は、東京の多くのお寿司屋さんも使っている伝統のお酢です。この『赤酢』は純米酒の酒粕からつくられているのが珍しく、5~6年もの長い歳月をかけて発酵させることで、茶色というより黒に近いお酢ができるんです。これが飲んでみるとびっくり。ストレートで飲んでもむせることがなく、マイルドな味なんですよ。この『赤酢』のコクと旨みが私たちの『煎り酒』のアクセントになっています」。
「煎り酒」に使っている原材料一つひとつに、こうしたストーリーがあるのだと、吉川さんは話す。実際に生産者や加工業者の方に会いに足を運ぶこともしばしば。その技術や想いに触れ、深く知れば知るほど、その豊かな食文化を未来に残したいという想いが強まるそうだ。
「煎り酒」の瓶を収納する紙筒を指して、「この細長い形がバトンのように見えるでしょう?」と吉川さん。日本の食文化の素晴らしさを、リレーのように人から人へ、そして未来へとつなげていきたい。人に贈る際にも渡しやすい、バトンを模したパッケージには、そんな「文右衛門蔵」の想いが込められている。
万能調味料という粋な贈り物
「煎り酒」の口栓を開けると、ふわっと鼻に抜ける香りがある。吉川さんいわく、それは日本酒に残る“お米が発酵した香り”なのだそう。
「キュウリを薄くスライスしたものを『煎り酒』に30分ほど漬け置くと、ぬか漬けのようなこなれた味がするんですよ。ぬか漬けも日本酒も、どちらも米を使った発酵食品なので、通ずるものがあるのかもしれないですね」。
キュウリだけでなく、白身魚のお刺身や豆腐などとの相性も抜群の「煎り酒」。炒め物や煮物にも使える万能調味料だが、特におすすめの食べ方を吉川さんに伺った。
「シンプルに卵かけご飯に使うのが私は好きですが、プチトマトの煎り酒ピクルスも簡単で美味しいですよ。プチトマトに楊枝で穴を開け、『煎り酒』に浸して冷蔵庫で冷やすだけ。食べるときに大葉をちょっと散らして食べると美味しいです。それとおすすめなのが炊き込みご飯。出汁の風味が引き立ち、梅干しの酸味があるので食欲の落ちる夏でもさっぱりと食べられます。刻んだミョウガや白ごまをかければ香りもよく、飲んだ後のシメにもぴったりですよ」。
さっぱりとして、品がある。まるで江戸の美学“粋”を体現したような「煎り酒」は、四季折々の食材の“旬”の味をより美味しく引き立ててくれる。未来の食卓に込めた「文右衛門蔵」の想いとともに、「煎り酒」をぜひ贈ってみてほしい。