伝統野菜を未来へ繋ぐ。「二見あかカラシナ」の「はなぱんちゅん物語」
<「はなぱんちゅん物語」のここに注目>
・希少な在来種「二見あかカラシナ」と地元産あぐー豚を組み合わせた、絶品ごはんのお供
・原料である「二見あかカラシナ」の種を代々守っていた農家さん
・100年先も伝統野菜「二見あかカラシナ」を残すために、大切にしている子供たちとの交流
比嘉さんが受け継いだ、あかカラシナの種
世界自然遺産まで続くやんばるの森と、真っ青な大浦湾に囲まれた「わんさか大浦パーク」。豊かな自然を活かし、周辺の集落ではシークヮーサーやマコモダケ、あぐー豚など、さまざまな農畜産物が生産されています。
二見地区で農家を営む比嘉君枝さんがつくる「あかカラシナ」が、大変貴重な伝統野菜であることがわかったのは2016年のこと。県の在来作物を研究している先生が、比嘉さんの保管する種を発見し、その希少性が判明したのです。
種は比嘉さんが義理の祖母から受け継いだもの。戦後の飢えをしのぐため、祖母が戦火から守り抜いた大切な種です。もし比嘉さんが栽培を続けていなかったら、あかカラシナの種は途絶えていました。比嘉さんが現代につないだ種は「二見あかカラシナ」と命名され、名護東海岸地域の名物として、今度は地域のみんなで守っていくことになったのです。
「二見あかカラシナ」のストーリーを伝える「はなぱんちゅん物語」
もともとカラシナは、沖縄では「シマナー」と呼ばれ、塩漬けやちゃんぷるー(炒めもの)にして食べる、地元ではメジャーな食材。しかし近年は西洋カラシナが主流になり、あかカラシナはどんどん減ってしまっていました。
「西洋の野菜は種を買えるし栽培もしやすい。でも在来種は、この土地に合うからこそ残ってきたもの。もし絶滅してしまったら、未来の子どもたちは外から種や作物を買うことしかできなくなります。自給という意味でも食文化としても、『二見あかカラシナ』を残していきたいと思っています」と話すのは、わんさか大浦パーク代表の深田友樹英さん。
「二見あかカラシナ」を未来に残し、多くの人に食べてもらえるように、わんさか大浦パークが開発したのが「はなぱんちゅん物語」。「二見あかカラシナ」とあぐー豚のひき肉を組み合わせた、ご飯が進む一品です。
「二見あかカラシナ」は、大きくなりすぎると硬くなって食べにくかったり、虫食いがあったりすると青果として売り物になりづらいため、どうしても規格外品が出てしまう葉野菜。そういった規格外品もきちんと処理して使用することで、農家さんが栽培するモチベーションにも繋がっています。
商品名の“はなぱんちゅん”は「鼻にツンと来る」という意味で、その味わいは、島とうがらしの辛味がピリッとスパイシー。白米と一緒に食べるのはもちろん、納豆に混ぜたり、パスタにするのもおすすめです。
地域の食文化として、100年先も「二見あかカラシナ」を残したい
「二見あかカラシナ」の種を途絶えさせないために、地域では未来の作り手・食べ手となる子どもたちとの交流を大切にしています。地域に1つだけある小中学校に「二見あかカラシナ」の畑を設置し、農家さんと子どもたちが一緒になって「二見あかカラシナ」を栽培、農作業を通して、この伝統野菜の大切さを学んでいます。
「この地域では戦時中から、各家庭で小さな畑をつくり、食べるものを自給していたんです。それを沖縄の言葉で『あたいぐぁー』と言うのですが、そこでできた作物をご近所におすそ分けすることで、人と人とのコミュニケーションが生まれる。『二見あかカラシナ』も、あたいぐぁーを通して引き継がれてきた野菜です。これらすべての流れを一つの地域文化として、これからも繋いでいけたらと思っています」と、深田さんと販売担当の秋山あゆみさん。
「二見あかカラシナ」と地域のストーリーの語り手として、「はなぱんちゅん物語」が活躍してくれそうです。