規格外野菜の先入観を覆す、うま味抜群の乾燥野菜「OYAOYA」
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<「OYAOYA」のここに注目>
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・市場に出回らない規格外野菜を乾燥野菜に京都府内でとれた野菜を中心に、50種類以上を展開
・エアードライ加工で、野菜のうま味や甘みなどを凝縮
・半年~1年と長期保存できる
気軽に使えて、料理の幅が広がる乾燥野菜
「OYAOYA」の開発がスタートしたのは、2020年のこと。株式会社Agritureの代表を務める小島怜さんは当時、京都の大学に在学中で、農業を学んでいました。生産者の悩みを見聞きする機会が多かったことから、業界の課題ともいえる規格外野菜のアップサイクルに乗り出します。
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「手軽に野菜がとれる製品を目指し開発にとりくみました。私は『食』と『健康』に関心があるものの、それほど料理が得意ではありません。そんな料理ビギナーでも使いたくなるような製品が理想でした」。
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そこで着目したのが「切り干し大根」に代表される乾燥野菜です。乾燥野菜なら下ごしらえが不要で、水に戻してすぐに料理に使えます。乾燥野菜の主な加工方法は、凍結させた野菜の水分を飛ばすフリーズドライと、野菜に温風をあてて乾燥させるエアードライに分かれます。小島さんは地元生産者のレクチャーをもとに、エアードライを採用。さっそく試作品を味見してみたところ――。
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「うま味や甘みが凝縮され、驚くほど美味しくなったんです! 水分がわずかに残るため、しっとりとした食感も楽しめます。とくにきゅうりは乾燥前とは別物なので、ぜひ食べていただきたいです。『OYAOYA』はフリーズドライ製品ほど日持ちするわけではありませんが、それでも半年から1年にかけて保存できます」。
事業が軌道に乗ると、小島さんは福祉施設と連携して生産体制を強化。現在は、50種類以上の製品を取り揃えています。キャベツ、白ねぎ、きゅうりなどの常用野菜にはじまり、加茂なす、聖護院大根、万願寺とうがらしなどの「京野菜」もカバー。公式サイトで公開している調理レシピも100種類を超える勢い。乾燥野菜の活用の幅の広さが伺えます。
市場に出回らなかった規格外野菜が海を渡る
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小島さんは現在、およそ15軒の生産者から規格外野菜を仕入れています。生産者の言い値で買い取るのは、見た目にこだわることなく「美味しさ」そのものを評価しているから。そのため、製品を通して「フードロス解決」を訴えかけるのは最小限にとどめています。消費者に先入観を与えずに「美味しさ」で勝負する。それが小島さんのモットーなのです。
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「世間から農業は大変という、ネガティブな印象をもたれがちです。しかし、それは一側面に過ぎません。世の中にはしっかりと収益を出して、いきいきと働いている生産者が大勢いるんです。消費者の方々が『OYAOYA』で野菜の美味しさを再認識して、農業のイメージアップにつながってくれることを願っています」
パッケージデザインも明るくカラフルで、小島さんの想いを表現しているよう。そんな「OYAOYA」は、「食」のプロも認めるクオリティ。個人向けだけではなく、星付きの料亭やレストランもリピーターになっています。さらにベトナム、インド、ドイツへの展開も着々と進行中。規格外野菜を使った「OYAOYA」が海を渡り、異国の食文化の発展を後押しする。そんな夢のあるストーリーがおぼろげに見えてきます。