摘果果実の特長を生かしたクラフトビール「摘果寿太郎ヘイジーIPA」
<「摘果寿太郎ヘイジーIPA」のここに注目>
・間引かれ、通常は廃棄されるみかん(摘果みかん)を原料に使用
・静岡県で採れた日本最高峰ともいわれるブランドみかん「寿太郎みかん」の果汁を使用
・摘果果実特有の酸味を生かしたクラフトビール
はじかれ食材から生まれたクラフトビール
2021年に静岡県三島市でオープンしたクラフトビール醸造所、ティールズ。ここでは採れすぎてしまったり、サイズが規格に合わなかったり、さまざまな理由ではじかれてしまったとうもろこしを原料にしたビールを作っています。
醸造所を始めて間もなく、生食用として出荷できないとうもろこしをビールにできないか、という相談が持ち込まれました。クラフトビールの原料としては一般的ではなく、ほぼ前例がない原料を使った理由を、醸造担当の秋田克彦さんはこう話します。
「静岡や箱根西麓で採れたとうもろこしだから材料として間違いがないと確信していました。いざ作ってみたら想像以上に素晴らしいものができました。本来のとうもろこしが持つ美味しさがちゃんと出たんだろうなと思います」
地元の柑橘を使いたいという想いから生まれた「摘果寿太郎ヘイジーIPA」
そんなティールズの人気商品のひとつが「摘果寿太郎ヘイジーIPA」。地元静岡で採れる、日本最高峰ともいわれるブランドみかん「寿太郎みかん」の、摘果された果実を使用しています。
フルーツを使用したビールが大好きな秋田さん。柑橘の栽培が盛んな地域だからこそ、三島市でビールを作るからには、地元の食材を使いたいという想いがあったそう。もともと摘果果実が気になっていたところ、寿太郎みかんを作っている生産者の方と出会いました。
「果物をビールにするときに大事なのは香りで、甘さはあまり必要ないんです。摘果された若い果実には、甘さはほとんどなく、荒々しいやんちゃな香りや酸味といった、ビール作りに欲しい要素がぎゅっと詰まっています」
作物を育てる過程で必要な作業である摘果。摘果した果実はそのままでは食べられないため、通常は捨ててしまいますが、ビール作りにとっては好都合なものだったのです。
「摘果寿太郎ヘイジーIPA」は、ごくごくと飲みやすい口当たりで、ジューシーな味わいが特長。香りの強い摘果を使用したからこそ、みかんの香りを存分に感じられます。
「お客様には『寿太郎みかん』の読み方や摘果って何? というところから説明していると、どんどん興味を持ってもらえて。うちの看板商品であるアメリカンペールエールと同じくらい人気があるんですよ」
摘果果実だけじゃない。ビール作りで生まれる循環
農業が盛んな地域でビールを作ることについて、「意識してSDGsのような活動を頑張ってはいません。この地域で活動をしていると、自然と地域のSDGsに組み込まれていくんです」と、話す秋田さん。
ティールズでは、はじかれとうもろこしや摘果みかんを使用したビールを醸造するだけでなく、ビールを作る過程で出るモルト粕も有効活用しています。通常、モルト粕は産業廃棄物として捨てられますが、ティールズでは近隣の農家に引き取ってもらいます。モルト粕を堆肥に混ぜ込むことで、肥料の栄養価が上がるだけでなく、畑の水はけも良くなるのだそう。畑がたくさんあり農業が盛んな地域だからこその活用法です。
また地元の養鶏場では餌としても使用。モルトの餌で育った鶏の卵を使用したメニュー「モルト卵のリゾット」をティールズの店舗で提供しています。
美味しく飲んで、摘果果実を救う。ティールズの「摘果寿太郎ヘイジーIPA」をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。