1.黒川産業の「福地鶏の卵」
「福地鶏」は、福井県畜産試験場が開発した地鶏です。福井市内で長年改良を重ねてきた品種「エミチレッド」の雄と純国産鶏の「岡崎おうはん」の雌を交配して誕生しました。
「福地鶏」が産んだ卵は、黄身が一般の卵よりも大きく、箸でつまめるほどの弾力があります。白身にも濃厚なうま味があり、おいしい卵料理に仕上がると評判です。
現在、県内の生産者たちによって、13棟の鶏舎で「福地鶏」が飼育されています。そのなかでも一番の飼育数を誇るのが黒川産業です。2017年4月に本格的な飼育を開始し、同年6月には卵の販売に着手しています。
「福地鶏」は、生産者ごとに品質の差が出ないよう「平飼い」で育てる決まりがあります。これは、鶏が自由に動きまわれる環境で育てる飼育方法で、黒川産業でも広い敷地に止まり木や排卵スペースを用意しています。元気に走り回る鶏たちに、代表の黒川久美子さんも目を細めます。
「鶏を育てることと人を育てることに違いはありません。愛情をこめて話しかけて、気持ちを通じ合わせます。鶏舎を清潔に保ち、主食には、安心・安全で栄養価の高い配合飼料を与えています。こうして丁寧に向き合うからこそ、おいしい卵になるんです」。
2.グリーンファーム角屋の「無添加糀(こうじ) 味噌」
福井県最北端に位置するあわら市。74本の源泉からなるあわら温泉は、県内屈指の温泉地として知られ、“関西の奥座敷”と呼ばれています。そんなあわら市で農業を営むのがグリーンファーム角屋。窒素肥料を使わないお米づくりを中心に、麦や大豆、大根などの多品種を栽培しています。
「先輩農家の方々は、この角屋集落の田園風景に誇りを持っているんです」。そう話すのは、ファームの代表を務める齋藤貴さん。20年近く金沢の農業法人に在籍していましたが、2017年にあわら市に移住。グリーンファーム角屋から、第三者継承というかたちで営農を託されました。
「角屋集落は、平野部にもかかわらず過疎化が進んでいます。ファームの活動を通じて、集落の知恵や知識を次世代に繋げていきたいです」。
グリーンファーム角屋は、加工品の製造・販売にも力を注いでいます。齋藤さんのイチオシは「無添加糀 味噌セット」。「あま糀 生」と「角屋の青大豆味噌」のセットで、どちらも自社栽培のお米や大豆を原料にしています。
「あま糀 生」はドリンクやデザートに最適。豆乳のうま味と糀のほのかな甘さのバランスが絶妙で、身体にじんわりと染み渡ります。「青大豆味噌」でつくったみそ汁は、香り豊かで自然な甘みに仕上がります。集落の大地で育まれた力強い味わいをぜひ堪能してみてください。
3.美・SOILの「清美米キューブ米」
福井県を貫く一級河川・九頭竜川。その支流にあたる竹田川流域で農業を営むのが美・SOILです。ユニークな屋号は、「美しい土壌(SOIL)」にちなんだもの。“身近すぎるスーパーフード”を謳い文句に掲げて、米づくりに取り組んでいます。
お米には、化成肥料ではなく有機肥料を使用。除草も機械と人力での作業が中心です。稲を広い間隔で植えつけているのは、風通しをよくするため。これにより稲が力強く育ち、使う農薬を最小限に抑えることができるのです。こうした環境負荷の低い農法が評価され、農林水産省による「エコファーマー」にも認定されています。
美・SOILで栽培しているお米は「清美米(きよみまい)」のブランド名で市場に流通。現在取り扱っているのは、粘り気とうま味のバランスがいい「コシヒカリ」、モチモチ食感の「ミルキークイーン」、炒め物に最適な「あきさかり」の3品種。個性際立つラインナップで、食べ比べも楽しめます。美・SOILの代表取締役・近藤勇太さんは「清美米」への思いをこう話します。
「“清美”は、農業の大先輩である父の名から取ったものです。父が自身の名前を付けるほど、人生を懸けた米づくり。ぜひ、たくさんの人に味わってほしいですね」。
4.牛若丸の若狭牛でつくった「牛しぐれ」
福井県を代表する銘柄牛といえば「若狭牛」。生産者が丹精込めてそだてた黒毛和牛種のなかから、厳しい審査基準を乗り越えたものだけが「若狭牛」に認められます。きめ細かいサシが入った肉質をしており、ジューシーでいて後味はさっぱり。年間600頭程度しか出荷されず、その大半が県内で消費されています。
県内で若狭牛を育てている農家はおよそ20軒。その中でも最大規模を誇るのが坂井市にあるサンビーフ斎藤牧場です。365日24時間体制を導入し、牛の体調や体温はもちろんのこと、水の配給ペースや寝床に敷くワラの量などもチェックしています。
徹底した管理によって、育てた牛の多くは歩留まり等級・肉質等級ともに高いランクのA4、A5等級に格付けされます。「平成17年度に開催された北陸地方の競りでは、うちの牛がグランドチャンピオンに輝きました」と、代表の斎藤力さんも胸を張ります。
サンビーフ斎藤牧場は、同市内に焼き肉店の牛若丸を運営。店の自慢のひとつが「牛しぐれ」です。鮮度抜群の若狭牛の精肉を減塩醤油、天然きび砂糖で丁寧に炊き上げました。決め手は、隠し味に使われる福井の田舎味噌。しっかりした味つけでごはんがどんどん進みます。
5.志野製塩所の「百笑の塩」
坂井市の中心地から車で、西へおよそ40分。越前海岸を望む絶景ポイントに志野製塩所はあります。海沿いにポツンと建った工房は、廃工場を改装したもの。中では、志野佑介さんがかまどから立ち上がる湯気を全身に浴びながら、塩づくりに励んでいました。
塩の原料になる海水は近くの入り江から汲み上げており、灰汁を取り除きながら3日間かけてかまどで炊き上げます。かまどにくべる薪は、山の間伐材や廃材を活用。海水も燃料も自然のサイクルから調達するのがモットーです。志野さんは、塩づくりとの出会いをこう振り返ります。
「2019年の移住に合わせて、この地で就農しました。農業以外にも生活の柱がほしいと考え、思いついたのが越前海岸の海水を使った製塩業です。試行錯誤の末に、製塩の師匠からも『美味しい!』と太鼓判をいただきました」。
志野製塩所の看板商品「百笑の塩」は、製塩された時期によって味わいが多彩に変化。酸味が後をひく仕上がりになることもあれば、うま味が強く出ることもあるなど、味覚を通して四季を感じることができます。その他のおすすめは、一晩以上かけてゆっくりと結晶化させた「結晶塩」や花椒(ホアジャオ)の風味がくせになる「スパイス十塩」。調理に使う前に、まずはペロっとひとなめ。塩の奥深さが堪能できます。
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