ロスパンを救出しながら全国のパン店に出会える「rebake」

きっかけは姉のひと言。パン店の悩みを解消したい
「焼き立て」という言葉が買い手を惹きつけるパンの世界で、問題になるのがフードロス。賞味期限的にはまだまだおいしく食べられても、焼いた当日に売れ残ったパンを廃棄するお店もたくさんあります。また店頭にパンがたくさん並んでいるほうがおいしそうという理由で、多めに焼く傾向があるのだと言います。

「10個焼いたら1個廃棄が平均値。パンという商品の特性上、ロスをゼロにすることは難しくて、大型量販店になるとロス率は4%くらいが最小値になってしまいます」と話すのは、「rebake」を立ち上げた斉藤さん。大学院で有機農業の勉強をしていた斉藤さんは、持続可能な消費を考えるなかで、廃棄物に対してできることはないかと模索。そこできっかけとなったのが、パン店で働く実姉の話でした。。
「毎朝4時に出勤して、一番始めの仕事がパンを捨てることだと話していて。もしそれを食べ手に届けることができたら、消費者はパンを食べるだけでフードロスの削減ができる。そういうシンプルな取り組みがしたいと思ったんです」。

こうして仲間と立ち上げたのが「rebake」。ロスパンの現状を伝えるためにフリーペーパーも作成し、7年間サービスを育ててきました。
全国のパン店の約15%が登録。まだ見ぬパンに出会える
「rebake」はパン店が売り切ることができなかったパンを、冷凍してお家に届けてくれるというサービス。ロスパンはいつ出るかわからないので、一定量が集まったら不定期に発送されるという仕組みです。ユーザーは登録されている全国のパン店から、好きなお店を選ぶことができます。届いたパンは、自然解凍してからトースターで温めればおいしさが復活します。

「rebake限定で通販をされているお店が多いので、なかなか足を運ぶことのできない遠方のお店だったり、ずっと食べてみたかったお店のパンを食べられると好評いただいています。お客様の中には無類のパン好きも多く、食べたパンをブログで発信されている方もいますよ」。
パンをつくる人はいわば、腕に磨きをかけた職人。サービス立ち上げ当初は「自分のパンを冷凍で売るなんて」とコンセプトに納得してもらえないことも多かったそうです。しかしコロナ禍やSDGsが浸透したこともあり、パン業界の風向きも変化。サービスを運用していくうちに、冷凍でもおいしく食べられるという事実も広まり、現在では日本全体のパン店の約15%である1500件以上のお店が登録。パン店からの問い合わせも多くなりました。

「rebakeの登録店はほとんどが個人店様です。こだわりのお店ほどフレッシュなパンを食べてほしい思いが強いですし、売り切れなかったパンを売ることに抵抗がある方が多かったのだと思います。SDGsによってフードロスをなくそうという考え方が一般的になったことで、パン店の意識にも変化があったのかもしれません。またコロナ禍には大量のロスを抱えてしまった大手さんからのご依頼が増えて、結果的に多くの方に『rebake』を知っていただきました。業界紙でもロスパンをどうするかという特集が組まれたり、大手製粉会社では冷凍専用の小麦粉が発売されたり。立ち上げから7年間で、業界の空気が変化したのを感じています」。

もちろんすべてのパンが冷凍に向くわけではありません。届くクオリティを保つため、サービス開始の前には一度すべてのパンを冷凍してテストを行います。パン店にとっては冷凍したり発送したりという仕事が増えますが、ロスを気にせずに焼けるようになったこと、そして何より、自分で焼いたパンを捨てなくてもよくなったことで、精神的にも救われたという声が届いているそうです。
新サービスも試運転中。ますます広がるフードロス削減の輪

時代の流れとともに、パン業界での需要が上がってきた「rebake」。斉藤さんは次なる一手として、売り切れなかった食品をお店に直接取りに行く新サービスも試験的にスタートしています。
「いまは地域限定でお試し中なのですが、自分の近くのお店でロスになりそうな食品を探して、店舗で直接ピックアップできるサービスを始めようと思っています。今回はパンに限らず洋菓子店や和菓子店なども入っていて、フードロスの削減を助けながら、気になっていたお店の商品をお試し感覚で楽しんでもらえたらと思っています」。
「rebake」が提案する、シンプルで楽しいフードロス削減。あなたもジョインしてみませんか?