ほのかな渋さと共に郷愁に浸る、柿のお菓子

柿の専門いしい 郷愁の柿
ほのかな渋さと共に郷愁に浸る、柿のお菓子
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パッケージ
日本の秋の風景には欠かせない柿。産地として名高い奈良県五條市では、至る所で柿の実がたわわに実る果樹が目に入る。そのなかでも西吉野町は露地柿の栽培はもちろんのこと、柿の加工品の製造や、柿を目的に観光客が訪れほどの、まさに「柿の里」。
今回は、そんな西吉野町にある「柿の専門いしい」がつくる人気の商品「郷愁の柿」をご紹介しよう。

「郷愁の柿」の贈り物としてのおすすめポイントをご紹介しよう。

愛嬌のある見た目とネーミング

愛嬌のある見た目とネーミング

「郷愁の柿」の主な原材料は、「法蓮坊柿(ほうれんぼうがき)」。西吉野町に昔から自生する柿の品種だ。この柿を干し柿にしたものの中に餡が詰まっている。その小ぶりで愛らしい形状は、一息つきたい時のお茶請けとしてぴったり。「郷愁の柿」というネーミングも、思わず由来を語りたくなる魅力を持っている。

柿と栗、渋みと甘みの二重奏

柿と栗、渋みと甘みの二重奏

もともと渋みの強い「法蓮坊柿」の特性を最大限引き立たせるため、栗の渋皮をそのまま潰すことでほのかな渋みを生かした餡と合わせている。単体だと若干の渋みが残りやすい干し柿だが、甘い餡と一緒に口にすることによって、その渋みがアクセントとなり味に深みを与えている。

「自生する柿」で地域を盛り上げる

自生する柿

「柿の専門いしい」は昭和40年、奈良県五條市西吉野町で創業した。

「祖父は『地域のために特産品をつくり活性化したい』という想いで創業したようです。最初は茗荷の塩漬けをつくっていましたが、次に柿のブランド化に取り組み始めました」と、「柿の専門いしい」三代目の石井和弘さんが教えてくれた。

自生する柿

「西吉野の柿」をブランド化にするにあたって問題となったのがキズモノや形の悪い「規格外」の柿。露地栽培の柿はどうしてもキズが付きやすいが、市場に出せばブランド価値が落ちるという理由で、大量に出る規格外の柿をこの地域では廃棄していた。この規格外の柿をなんとかしようと、最初に「柿酢」づくりを始めたのをきっかけに、次々と柿の加工品を開発してきた。

「加工することにより新たな価値を加え、1年中、西吉野の柿をPRすると同時に『廃棄する柿を減らし農家さんに還元できる』という良い循環が生まれました。祖父が望んだ特産品づくりを通して地域の活性化をしたい、という思いが叶い始めたのです」と、石井さん。

自生する柿

いまでは「柿の専門」というブランドをしっかりと掲げ、「柿をステキな果物に」「柿を科学する」を合言葉に、様々なチャレンジから新しい商品を生み出してきた。柿に関する基礎研究や、大学等の研究機関とも連携するなど、開発は多岐にわたっている。

「柿の専門」がゆえに、使用できる主原材料は「柿」のみ。柿は香りが乏しく変色しやすいうえ、熟すと柔らかく腐りやすいので加工するのが難しいが、それ故に競合商品が生まれにくい。チャレンジをして商品開発が成功すれば差別化された商品となりやすいという強みもある。

「法蓮坊柿」の強い渋みを諦めない

法蓮坊柿

「郷愁の柿」も、チャレンジから生まれた商品だ。主な原材料である「法蓮坊柿」は西吉野地区に昔から自生する柿。渋みが強く、干してもあまり甘くならないことから、古くから鏡餅のお飾りに使われるなど、観賞用が一般的だった。

「柿の専門いしい」でも、つるし柿として販売していたが、渋くて売れないどころか「渋い」と返品されることもしばしば。地域を象徴する柿のひとつであるこの「法蓮坊柿」をなんとか生かしたいという思いから試行錯誤を重ね、もともと持っている柿の渋みに馴染むように渋皮入りの甘い栗餡と合わせた商品が完成した。

2014年には観光庁主催の「世界にも通用する究極のお土産」ベストセレクション」を受賞し、このことをきっかけに広く認知されヒット商品になった。

法蓮坊柿

「現在では数量不足から農家さんに『法蓮坊柿』の木を植えてもらうまでになりました。おすすめの食べ方は、和菓子らしく日本茶と一緒にお召し上がりいただくのが美味しいです。少し渋めのお茶が良くあいますよ。柿のお菓子はワインとの相性も良いので、お酒が好きな方はぜひお試しください」と、石井さん。

法蓮坊柿

樹高ある柿の木に登り、採った渋柿の皮をむき干す。天候に気を配りながら約ひと月。切り目を入れ小さな種を抜く。種を抜いた空間に栗の餡を詰め形を整える。日常に手間暇かけることが当たり前だった頃の日本の味わいを、無意識に「なつかしい」と感じてもらえたら。「郷愁の柿」という独特な名前には、そんな想いが込められているという。

法蓮坊柿

日本人が古来から大切にしてきた、その土地の食材の特長を生かすことや、手間暇かけて丁寧に暮らしを楽しむ心を、この小さなお菓子が、ふと、思い出させてくれる。

Writer : HITOMI ARATAKI & YOKO AOYAGI
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Photographer : CHIE MARUYAMA

柿の専門いしい 三条通店

柿の専門いしい 三条通店
所在地 奈良市上三条町27-1 村田ビル1F
TEL 10:00~19:00
定休日 年中無休
URL https://a-kaki.com/hpgen/HPB/entries/57.html#sanjyou

※こちらの情報は取材時のものです。最新の情報は各店舗にお問い合わせください。

柿の専門いしい JR奈良店

柿の専門いしい JR奈良店
所在地 奈良市三条本町1-1JR奈良駅ビエラ奈良2F
TEL 0742-25-3535
定休日 年中無休
営業時間 10:00~21:00
URL https://a-kaki.com/hpgen/HPB/entries/57.html#JR

※こちらの情報は取材時のものです。最新の情報は各店舗にお問い合わせください。

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japan-guide.com https://www.japan-guide.com/list/e1228.html
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