“地域ならでは”のストーリーを持つ郷土料理

郷土料理写真
日本には、地域によって異なる気候や風土があり、収獲される食材はもちろん、食習慣も各地によって様々である。

このような地域ならではの要素を背景に地域の人々の知恵によって生まれた郷土料理にはそれぞれのストーリーがあり、日本の食文化の一つであるといえる。

今回は5つの郷土料理とレシピを合わせて紹介するので、実際に作って味わってみてほしい。

鮭のちゃんちゃん焼き
※画像は紹介レシピ「鮭のちゃんちゃん焼き」の画像です。

漁を終えた漁師が仲間と食べた味 鮭のちゃんちゃん焼き(北海道)

鮭のちゃんちゃん焼きは鮭が多く獲れる北海道で、漁師たちがきのこなどの野菜と一緒に大きな鉄板で蒸し焼きにして食べたのが起源とされる郷土料理。一風変わった名前の由来は「ちゃっちゃっ(と早く)」作れるからという説や、「ちゃん(お父さん)」が作るからという説など、諸説ある。

調理方法は漁師料理が起源ということもあって、いたってシンプル。鉄板に鮭と野菜を一緒にのせて、味噌、酒、砂糖などをかけ、アルミホイルなど上ぶたをかぶせ蒸し焼きにして調理する。彩り豊かな食材と甘じょっぱい味噌だれの香りが食欲をそそる一品だ。

記事協力:光塩学園調理製菓専門学校 日本料理専任講師 田安透氏

鮭のちゃんちゃん焼き

★ おすすめレシピ

「鮭のちゃんちゃん焼き」

さんが焼き
※画像は紹介レシピ「さんが焼き小松菜添え」の画像です。

山で食べた海のごちそう さんが焼き(千葉県)

さんが焼きは南房総地方の漁師料理である“なめろう”を焼いたことが起源とされる郷土料理。なめろうとは鯵などの魚を粗く叩いたものに味噌や薬味をあえたもの。

醤油などの液体調味料を漁に持っていくとこぼれてしまうため、こぼれることのない味噌を持参してその場で獲れた魚につけて食べたことをきっかけに生まれた。地域の人々が畑作業に山へ行った際、あわびの殻にのせたなめろうを山の家で焼いて食べたことから「山家(さんが)焼き」と呼ばれるようになったとされる。

鯵、鰯、秋刀魚などを叩いたものに味噌、ねぎ、しそなどをあえ、貝の殻につめて焼いて食べる、お酒のつまみにも合う一品だ。

記事協力:南房総なめろう研究会 会長 栗原和之氏

さんが焼き

★ おすすめレシピ

「さんが焼き小松菜添え」

冷えたからだを温めてくれる冬のごちそう ぶり大根(富山県)

ぶり大根
※画像は紹介レシピ「ぶり大根」の画像です。

ぶり大根は富山の荒れた冬の海で多く獲れるぶりを使い、同じく冬に“旬”を迎える大根と一緒に煮込んだ郷土料理。芯から冷える寒い日に揺れる船上で働き続ける漁師たちにとって、体をあたため癒してくれる冬のごちそうだ。

ぶり大根は刺身や照り焼きにして食べたあとのぶりのあら(身をとったあとの頭や中骨など)を使うことが多い。大根に、さっと湯通ししたあらや身を加えて、醤油や味噌で柔らかく煮付け調理する。脂ののったぶりとぶりから出る旨みが染み込んだ大根がたまらなく美味しい一品だ。

記事協力:富山県農林水産部

ぶり大根

★ おすすめレシピ

「ぶり大根」

味噌づくりが盛んな土地が生んだ柚子の利用法 柚子味噌(徳島県)

鯛とサツマイモの柚子味噌焼き
※画像は紹介レシピ「鯛とサツマイモの柚子味噌焼き」の画像です。

柚子味噌は柚子の絞り汁に塩を加えて作る柚子酢を作ったあと、残った柚子の皮に味噌をつめて火鉢の上で焼き、柚子の香りがついた味噌をおかずとして食べたことが起源とされる郷土料理。

徳島では「御膳味噌」というお殿様に献上した味噌があることでも知られる通り、味噌づくりが盛んで、柚子も多く獲れる土地であったからこそ生まれた食文化である。今では、おにぎりや魚に柚子味噌をつけて焼くなどの食べ方も広がっている。

記事協力:徳島文理大学短期大学部生活科学科 准教授 長尾久美子氏

鯛とサツマイモの柚子味噌焼き

★ おすすめレシピ

「鯛とサツマイモの柚子味噌焼き」

夏に重宝する野菜料理 こねり(大分県・熊本県)

茄子とゴーヤのこねり
※画像は紹介レシピ「茄子とゴーヤのこねり」の画像です。

こねりとは夏に多く収穫される茄子やゴーヤを効率よく食べるために考えられたことが起源とされる大分県や熊本県の郷土料理。

茄子とゴーヤ(ピーマンや玉ねぎの場合も)を油で炒めて味噌または醤油で味付けし、水で溶いた小麦粉でとろみをつけて調理する。ご飯にかけて食べても美味しい一品だ。とろみがついて食べやすいこねりは暑さで食欲が低下しがちな夏に重宝されている。

こねりという名前は小麦の「粉」をくわえて「練る」ことが由来とされ、大分県では「オランダ」や「ぬたえ」とも呼ばれている。

記事協力:いもの力屋 代表 甲斐田八夜子氏

茄子とゴーヤのこねり

★ おすすめレシピ

「茄子とゴーヤのこねり」

「小石川テラス」×「SHUN GATE」が提供する郷土料理

小石川テラス写真

今回紹介したレシピを作ってくれたのは東京文京区にある「小石川テラス」の高島シェフ。

「小石川テラス」は全国の伝統野菜を扱って来たノウハウを活かし、素材だけではなく調理法にまでこだわった料理メニューを提供しているレストラン。

今回紹介した5つの郷土料理は「小石川テラス」×「SHUNGATE」のコラボレーション企画として、11月2日~12月4日(2015年)まで1週間ごとメニューを変え5週にわたってランチメニューとして提供されている。

「小石川テラス」の高島シェフがアレンジする地域に根付いた郷土料理を是非とも味わっていただきたい。

※掲載写真と実際のメニューが異なる場合があります。

小石川テラス

所在地 東京都文京区 水道1丁目3-3 *東京メトロ有楽町線江戸川橋駅から徒歩約8分
TEL 03-5840-2846
定休日 土日・祝日
営業時間 ランチ11:30-14:00 , カフェ14:30-17:30 , ディナー18:00-22:00
URL http://koishikawa-terrace.jp/

※こちらの情報は取材時のものです。最新の情報は各店舗にお問い合わせください。

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