素材の味を堪能できる日本のお菓子「おかき」
*パッケージは価格帯によってカタチが変わる場合がございます。
*デザインは時期によって変更の場合がございます。
今回、SHUN GATE編集部では、日本人に長年に渡って愛され続けてきた、おかきの中から、素材そのものの味を追求し、昔ながらの製法にこだわり続ける王様堂本店の「昔かきもち 海日和山日和」を紹介する。
この「昔かきもち 海日和山日和」は、その名のとおり海の幸と山の幸の素材を使っている。海の幸は「海苔巻/昆布/ひじきじゃこ」の3種、山の幸は「黒大豆/アーモンド/ごま」の3種と、6種類の味を楽しむことができる。
まずは、「昔かきもち 海日和山日和」を実際にSHUN GATE編集部メンバー内で食べたときの感想を、味だけではなく、見た目など様々な角度から、受け取る側の素直な気持ちも交えてお伝えしておこう。
素材そのものの個性を感じられる味
まずは、<海日和>から、「海苔巻」をいただいた。海苔とおかきの相性は絶妙で、口に入れると、海苔と米の風味をしっかりと感じることができる。使っている海苔は、おかきの味に合うように、あえて磯の香りの強い千葉県産のものをセレクトしているとのことだが、そのこだわりが、この絶妙な相性を生んでいるのだろう。「ひじきじゃこ」、「昆布」も国産の素材を使っており、口のなかで広がるお米の味と海の幸の風味は、どこか懐かしく、優しい味わいとなっている。
次に<山日和>をいただいた。「アーモンド」や「黒大豆」は、豆の香ばしさが際立ち、後を引く。「胡麻」も豊かな風味がそのままぎゅっと閉じ込められた深みのある味となっている。甘さや辛さなどの主張が強いスナック菓子とは異なり、おかきは素材そのものの旨みと、甘みや香りの絶妙なコンビネーションを感じられる。6種類それぞれに素材そのものの個性が活かされていて、一つ、また一つと手が伸びてしまう。海の幸、山の幸と色んな味が楽しめる「昔かきもち 海日和山日和」は、幅広い年代にも好まれる、贈り物には最適な一品といえるだろう。
素材の味を活かすため、昔ながらの製法にこだわり続ける
大正13年(1924年)創業の王様堂本店は、90年という歴史の中で、おかき・あられだけを一筋に作り続け、素材にこだわった多くの商品を販売している。そして、王様堂本店は素材を活かすために、手間と時間をかけた昔ながらの製法を取り入れている。
おかき作りは「蒸し・搗(つ)き・成型・乾燥・焼き」という工程で進むが、王様堂本店では、その工程を終えるまでに1週間近くも要するという。一般的な食品の製造工程と比べて非効率的にも思える製法を行う理由を野田工場長、成嶋さんにお話をうかがった。
「米菓作りは非常にデリケートな部分が多いのが特徴です。一気に作り上げることもできますが、素材の風味を最大限に活かすことを考えると、そこには手間と時間が必要となります」と成嶋さん。さらに、そのこだわりの製法について、詳しく説明していただいた。「おかき作りは、もち米を蒸すところから始まります。私たちは、もち米の粒を傷つけないように、低温で水分の多い優しい蒸気で蒸かしますが、これによって、でんぷんの旨みを引き出すことができるのです。そして、蒸かしたもち米を丸粒のまま、搗いていくことで、風味と美味しさが増していきます。搗いたもちは、こねた後に木型に入れ、成型していくのですが、ここで使用する木型は、私たちが昔から使い続けてきたもので、餅の汗(水分)を吸収しやすく、美味しいおかきづくりには欠かせない道具の一つです」
時間と手間をかけた作業を交えながら、次の工程へと進んでいく王様堂本店のおかき。長年、培ってきた技術を活かした工程の一つひとつに素材の味を大切にする気持ちが込められている。
工程一つひとつに職人の目が光る
おかき作りのなかで一番重要な工程は乾燥だと成嶋さんはいう。
乾燥の工程では、表面だけでなく、内側までまんべんなく乾燥した状態にしなければならない。「乾燥がうまくできないと、焼いたときに焦げてしまったり、固すぎたり、歯ざわりの良い美味しいおかきはできません。そのため、私たちは3〜4日かけてじっくりと乾燥させていきます。気候や毎日の温度変化で乾燥度合が微妙に変化するため、熟練した職人の目で、毎日欠かさずチェックしています。表面に細かく小さなひびがたくさん入った状態が、乾燥が十分に進んだ証。そこでようやく焼きの工程に入ります」
職人の目をとおして、乾燥を終えたおかきは、乾燥度合に合わせ、細かな火加減の調節をしながら丁寧に焼いていく。焼き上がったら醤油をかけ、仕上げに油を軽くまぶしてようやく出来上がりとなる。
昔ながらの木箱を使い餅の汗を吸収しながらの成型、おかきの肌を見ながらじっくりと行う乾燥など、手間と時間をかけたおかきづくりの一連の工程は、お菓子という域を超え、まるで生き物を扱っているかのような繊細な作業である。
我々が取材を進めていると、工場でただ一人という、ざらめ職人の小野寺裕明さんに出会った。小野寺さんは「私は、この道17年になりますが、やはり昔ながらの製法が一番だと思っています。ざらめを付ける作業を、昔ながらの手作業でやることで、醤油をまぶしたおかきにたっぷりとざらめをつけられるだけでなく、良い意味でのムラもできます。機械まかせの決まった分量で、均一にざらめを付けていくのではなく、職人の手作業で加減しながら作ることで、奥行きのある風味を持ち、おかき一つひとつに個性的な味が生まれてくるのだと思っています」
小野寺さんの言葉からは、おかき一つひとつの個性を大事にする職人のこだわりを強く感じた。
グローバルに向けた挑戦は “おもてなし”の心から
昔ながらの製法にこだわる王様堂本店では、この米菓文化を日本人だけでなく、海外の方たちにも伝えていきたいという想いから、ムスリムの方でも食べられる「東京あられ(ハラール)」という製品を開発した。「ハラール」とは、ムスリムの人たちにとって“許されるもの”という意味であり、イスラム教の戒律によって制限される豚肉やアルコールなどの原料を使わないことのほか、処理や加工についても厳しい条件を求められる。
*HALAL認証機関は、日本にもいくつかあり、「東京あられ(ハラール)」は「日本アジアハラール協会(NAHA)」の認証を取得。
「東京あられ(ハラール)」誕生の経緯について、代表取締役の木村さんにお話を伺った。
「王様製菓では、50年以上前から海外への輸出をおこなってきました。そこで、ムスリム文化に接し、ムスリムの方でも食べられる米菓作りに注目しはじめました。しかし、ハラールの認証取得はなかなか難しく、認証取得までかなりの時間と労力を要しました」
「東京あられ(ハラール)」の製造は、工場のなかに専用スペースを設け、設備だけでなく、掃除用具まで通常の米菓作りで使用するものとは別のものを使用している。「ハラール認証取得に向けてさまざまな知識を得るうちに、技術的な対応だけでなく、ムスリムの方たちの“気持ち”を考えていくようになりました。お客様になっていただく人の好みや嗜好を考えて商品に工夫を重ねていく、という原点に立ち返れば、私たちは何も変わったことをしているつもりはありません。海外のお客様にも米菓を食べていただきたいという“おもてなし”の心で作っていけば、本物のメイド・イン・ジャパンとして、海外で作られている米菓とはひと味もふた味も違う美味しさを経験していただけるものだと思っております」と力強く語ってくれた。
この「東京あられ(ハラール)」は海外の人たちだけではなく、イスラム圏へ出張するビジネスマンも、お土産として購入していくことがあるという。
“おもてなし”の心を持って、海外の方へも日本の米菓を味わってもらいたいという王様堂本店の挑戦には、日本の代表的なお菓子、おかきの可能性がこれからも広がっていくことを確信した。
「昔かきもち 海日和山日和」、そして「東京あられ(ハラール)」は、国内外の多くの観光客が訪れる街、浅草にある王様堂本店でも購入することができる。店内にはその他にも40種類以上の商品が店頭に並んでいる。昔ながらの伝統の製法にこだわり、日本の代表的なお菓子「おかき・あられ」一筋に取組む王様堂本店の“おもてなし”の心を、粋な街、浅草で感じてみてはいかがだろうか。