瀬戸内の果実を優しく包んだ “はっさく大福”
*デザインは変更の場合がございます。
今回紹介するのは、そんな因島のはっさくの美味しさを大福の中に閉じ込めた、はっさく屋の「はっさく大福」。素材にこだわり、すべて手作業でつくられた大福には、店主のはっさくへの愛情が詰め込まれている。
「はっさく大福」の贈り物としてのおすすめポイントをご紹介しよう。
見ためにも心を奪われる黄と純白の2色模様
一つ一つ丁寧に個包装されている「はっさく大福」。店のスタッフが描いたというはっさくのイラストが目を引き、封を閉じる緑のテープがさりげなくはっさくの葉っぱを想起させる可愛らしいパッケージだ。そして、何より魅力的なのが、大福にかぶりついた時に現れる、はっさくの眩しい黄色とそれを包み込む白餡と餅の純白のコントラスト。目に鮮やかな2色の断面に、瞬時に心を奪われること間違いなしだ。
甘味と酸味の絶妙なハーモニーが癖になる
食べた時のインパクトも強い。餅と白あんの濃厚な甘味を感じたかと思えば、その後にフレッシュなはっさくの酸味がジュワっと口いっぱいに広がっていく。甘さと酸っぱさ、はっさく特有の苦みの絶妙なハーモニーが癖になる美味しさだ。はっさくの実がたっぷりと3房ほど詰まっているので、採れたてのはっさくそのものを食べているかのような感覚にもなる。
美味しさの秘密は地元の素材と手作業へのこだわり
広島県尾道市から愛媛県今治市まで瀬戸内海に浮かぶ島々を結ぶ「しまなみ海道」の尾道側に位置する因島。しまなみ海道を象徴する大きな吊橋の一つである因島大橋を一望できるレストハウスの中にはっさく屋はある。島の中心部から離れた閑静なエリアに位置するにも関わらず、休日には「はっさく大福」を求めてサイクリストや観光客の行列が絶えない。多い時で1日2000個も販売するというから驚きだ。
代表の柏原伸亮さんが「はっさく大福」の美味しさの秘密を教えてくれた。
まずは素材への徹底したこだわりだ。使用するはっさくは因島産の採れたての水々しいはっさくのみ。はっさくは冷凍したり時間が経つと苦みが強くなるため、賞味期限は三日間としている。果物の風味を高めるために餅の中にみかんの皮を練り込んでいるが、それも因島産のものを使っているそうだ。そして餅米は全て広島産。一般的に大福を作る際は日持ちを優先し餅のやわらかさを保つため求肥などを使用することが多いが、はっさく屋では餅米のみでつくっている。
作り方にもこだわりを持つ。餅米を蒸す際には木製のせいろを使用。その方が適度に余分な水分が取り除かれるという。蒸し上がった餅米を打つのも全自動の機械に頼らず、未だに石臼で打つことにこだわっている。全自動の餅つき機は杵と臼の間に5mmくらいの隙間が空いているため、餅のなめらかな食感が出しにくい。石臼で打つ場合は常に手で餅を返し続けなくてはならないため大変な手間がかかるが、その分きめ細かい美味しい餅がつき上がるのだ。
はっさくの薄皮を剥く作業、餅を薄くのばして破けないよう丁寧に包む作業、最後の包装作業まですべて、品質にこだわりをもったスタッフによる手作業だ。
「結局、地元のものを使って、全部自分たちでつくるのが一番美味しい。なんといっても『はっさく大福』の主役は因島のはっさく。主役の美味しさを引き立たせることが肝心だからうちの大福はあえて餡は少なめ」と、柏原さん。
50歳から始めた大福作り
柏原さんが「はっさく大福」をつくり始めたのは、50歳の頃。以前は、造船会社や運送会社などに勤務し、大福づくりとは無縁の生活を送っていたそうだ。転機は、同じ町内で「はっさく大福」を既につくっていた菓子屋「かしはら」の店主である柏原伸一さんと出会ったこと。伸一さんには跡継ぎがいないことから「うちの『はっさく大福』をつくってみないか?」と相談を持ちかけられ、柏原さんは伸一さんに教えを乞いながら大福作りの道を選んだそうだ。
「当時は『はっさく大福』のことを知っている人も少なかった。ただ、食べてみると、まあうまい。純粋にこんなうまいものをなくしたらもったいないと思ってね。最初は全然売れなくて大変だった。その魅力を伝えるため全国で必死になって配り歩いたりもした」と、柏原さんは振り返る。
因島への観光客への販売だけでなく、柏原さんは広島市内や東京都内まで商圏を拡大することに尽力。トラックの荷台に「はっさく大福」を詰め込み、一人で全国各地に配布して回ったそうだ。次第にその美味しさが評判を呼び、「はっさく大福」を目当てに因島まで買いにくるお客さんが徐々に増えていったそうだ。いまではメディアでも頻繁に紹介されるようになり、因島の名物として人気商品となったのだ。
作り手の熱意と瀬戸内の恵みが凝縮された「はっさく大福」。ぜひ、贈り物として大切な人に届けてみてはいかがだろうか。