mellowbearのおやつで、愛犬と楽しみながらフードロス解決へ

mellowbear創業者の山本麻実さんは愛媛県今治市出身。環境について考えるようになったのは、地元でのゴミ拾いでした。

「ゴミ拾い以外に、環境保全のために何かできることがないかと考えた時に、フードロスに注目しました。もともとお菓子作りが好きで食への関心が高く、母がなんでも手作りしてくれていたこともあって、無添加も身近なものでした。飼っている3匹の愛犬のために自宅でおやつを作っていたこともあって、『ロス食材×無添加な犬のおやつ』という、この組み合わせだったら楽しいことができそうだと思って始めました。点と点が繋がった感じですね」

mellowbearとして活動を始めた当初は、チラシを作って近所の商店街を回ったりして、活動に賛同してくださる方を探したりもしました。そんな中、幡ヶ谷の八百屋さんが「いい活動だね。」と賛同してくれて、フードロスになるお野菜の提供を始めてくださり、そこからmellowbearの一番最初のおやつが生まれました。

「そこから少しずつ発信をしていくことで、友人づてでロス食材の話をいただくことも増えました。例えば、タラの身を使って、食品を作っている友人から、タラの皮が余っているから使う？ と声をかけてもらったり、企業さんからもロスの食材があるよ。と、少しずつ声をかけていただくことが増えました」

さまざまあるロス食材の中でも、特に鹿肉は、山本さんにとって絶対に使いたかった食材でした。

「鹿は増えすぎてしまって、森を守るために年間約60万頭が駆除されており、そのほとんどが土に埋められたり燃やされたりしているのが現状です。でも鹿肉って犬にとってもものすごく栄養価が高いんです。そんなお肉をせっかくなら活用したいと思いました。そこで長野県にも行かせていただいて、猟師さんや、加工している方のお話を聞きに行っています」

mellowbearは生産から販売、イベントへの出店など、山本さんが1人で取り組んでいます。鹿肉は加工が難しいので、衛生管理のしっかりした事業者に協力をお願いしているものの、それ以外は、全て手作り。タラの皮をひたすらねじったり、クッキーを一つひとつ型抜きしたり、「大変だけど好きでやっている」と、声を弾ませて話す山本さん。

「ブランドを通していろんな方とお話させていただける機会も多くて。わんちゃんを飼っていると、まちが地元になるというか、知り合いが増えるんですよ。歩いていると、こんにちは、とコミュニケーションをとれるんです。さらにポップアップイベントにきている方同士が友達になっていくのを見ると、本当にやっていて楽しいし嬉しいですね」

課題となっているロス食材はまだたくさんあり、構想も広がります。mellowbearの商品として地域で出たものはその地域で加工したり、商品作りだけでなく、時間的制約があって、職を探すのが難しい方に雇用が生み出せたりする仕組み作りも目指したいのだそう。

幡ヶ谷の八百屋だけでなく、いろんな地域に足を運び、食材の開拓している山本さん。

「今は、いろんな方から、『こんなロスの食材があるよ。』と、教えていただく機会が増えました。もっともっと開拓して、ゆくゆくは全部ロスの食材でおやつを作りたいと思っています。すごい量の食材が毎日、捨てられているので、絶対にロス食材だけで生産できると思うんです」

決して堅苦しくなく、愛犬とのおやつ時間という、1日のうちの一瞬の時間を楽しみながら、フードロス解決に繋げる。このおやつには山本さんの想いが詰まっています。

「ブランドのコンセプトに『We just wanna have fun.』を掲げています。フードロスが前に出ると、ちょっと重いって捉えられがちだと思うんですが、おやつの時間って、わんちゃんにとっても飼い主にとっても楽しい時間であるので、パッケージもポップにしていて。フードロスについては、秘めたメッセージとして裏面に書いてあるので、それを見た方がちょっと環境のことについて考えるきっかけや、行動するきっかけにつながればいいなと思います」