地元、三陸を愛する若手漁師が伝える「三陸ワカメ」の魅力
日本では味噌汁や酢の物など、多くの料理の食材として日常的に使われている。そうした日本の食卓に欠かせないワカメの国内収獲量の約7割を占めるのが、三陸沖で獲れる「三陸ワカメ」だ。
今回は「三陸ワカメ」の魅力について、漁師であり三陸の水産業を盛り上げる活動をおこなっている赤間俊介さんに話を伺った。
三陸の海が良質なワカメを育む
世界三大漁場の一つに数えられる三陸沖。親潮と黒潮が交わる沖合は豊富な水産物が獲れるほか、沿岸部では複雑に入り組んだリアス式の地形が形成する湾を利用してワカメやホタテ、カキなどの養殖漁業も盛んに行われている。
こうした三陸の自然の恩恵を受けて育つワカメは、その香り、そして肉厚で弾力のある歯ごたえに特長を持ち、市場からも高い評価を得ている。
「ワカメが生育する上で三陸沖はとても恵まれています。ここには雑菌の少ない海域として国が定めた基準をクリアしている『清浄水域』があって、ワカメやカキなどの生食用の海産物の生育には理想的な海域です。それに、リアス式海岸といわれる断崖絶壁の山肌から、海へとミネラル成分が溶け出すことでプランクトンも豊富に存在します。このような環境だからこそ、三陸ではよく育った美味しいワカメが獲れるんです」と語るのは、祖父の代から続くワカメ漁師として地元宮城県塩釜市で漁業に携わってきた赤間俊介さん。
「小さい頃から日常的に父と一緒に漁に出掛けていました」と話す赤間さんは、中学生になる頃から“仕事として海に出る”感覚が芽生え、大学時代も水産加工の製造や配送を経験するなど、漁師になる前から水産業に関わる経験をたくさん積んできたという。
ワカメをもっと美味しく、三陸の未来をもっと明るく
現在、赤間さんは宮城県・岩手県・福島県の水産業のリーダーたちが地域を越えて繋がり、水産業の明るい未来を創るべく活動をおこなう「フィッシャーマンズ・リーグ」の「わかめプロジェクト」のリーダーを担っている。
そうした「フィッシャ―マンズ・リーグ」の活動の一つである「SANRIKUフィッシャーマンズ・フェス」が、2016年6月、東京・浅草の「まるごとにっぽん」でおこなわれた。
イベント期間中には赤間さんたちが講師を務める「三陸ワカメ」の食育イベントの記念すべき第一回目を開催。
三陸ワカメの特長やその美味しさの背景などを、ほかの地域のワカメとの食べ比べや、料理教室といったプログラムを通して参加者に伝えていった。
参加者の方々は改めて「三陸ワカメ」を味わい、知る機会になった様子。赤間さん自身も今回の食育イベントを通して、「三陸ワカメ」の浸透に手ごたえを感じている。
「今回は大人が対象でしたが、今後は子ども連れで楽しめるイベントもやっていきたいですね。毎日の家庭の食卓で、『三陸ワカメ』を意識してもらい、美味しいって食べてもらえるようになれば嬉しいです」。
ワカメに限らず、三陸には他にも様々な高品質の海の幸が豊富にあるので注目してほしいと赤間さんは話す。そのためには、漁師や水産加工業者たちが各々の浜や地域を越えて繋がり、技術の向上や商品開発等に励む「フィッシャーマンズ・リーグ」の活動を、今後もより活発化していくという。
三陸とその海産物の持つポテンシャルが、世界に誇る「SANRIKU」ブランドとして実を結ぶことを期待したい。
三陸ワカメ
情報提供:シーフーズあかま 代表取締役社長 赤間俊介“旬”の時期
三陸ワカメの“旬”は12月中旬~5月初旬。
12月~3月上旬のものは“早採れワカメ”と呼ばれ柔らかく優しい口当たり。養殖ワカメは3月下旬がピーク。天然ワカメはしなやかで肉厚と弾力が特長で、5月にかけて”旬”を迎える。※海域により若干のズレがあります。
美味しい食べ方
“旬”の時期の生ワカメは香りと食感が格別。素材そのものを味わうには、ワカメしゃぶしゃぶにして食べるのがおすすめ。
フィッシャーマンズ・リーグ
フィッシャーマンズ・リーグ」は、岩手県、宮城県、福島県の水産業のリーダーたちが連携をして、世界に通用するブランドを生み出し、地域全体、水産業全体の利益に貢献することを目的とし、設立された。また、その活動を通じて、魚食文化を拡大・創造し、地域に対する誇りを広めていくことで、水産業の担い手づくりにも貢献していくことを目指している。
URL | http://fml.or.jp/ |
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