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OKURIMONO (April 2017)

萩の歴史を丸ごと味わう伝統の夏みかん菓子

光國本店 夏蜜柑丸漬

光國本店 夏蜜柑丸漬

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パッケージ
  • *パッケージは価格帯によってカタチが変わる場合がございます。

江戸時代、萩城の城下町として栄えた山口県萩市。

ここ萩市は夏みかん栽培発祥の地として知られている。明治の初め、廃藩置県によって失業し困窮する士族を救済しようと、武家屋敷に夏みかんの苗木が植えられたのが始まりだ。冬から夏にかけて、町並みを彩る黄色い夏みかんは、いまも萩市を象徴する景観として愛されている。

今回ご紹介する贈り物は、そんな萩市のシンボルを使った銘菓。幕末創業の老舗「光國本店」が作る「夏蜜柑丸漬(なつみかんまるづけ)」だ。その名の通り丸々とした形がとてもユニークなこの菓子は、観光客のお土産としてはもちろん、地元では慶事菓子としても重宝されている。

「光國本店」の「夏蜜柑丸漬」について、贈り物としてのおすすめポイントをご紹介しよう。

大胆な見た目と、繊細な味わい

「夏蜜柑丸漬」を箱から取り出した瞬間、まず驚かされるのは、なんといってもその見た目。直径9cm大ほどの夏みかんの形が丸ごと活かされていて、一体どんな菓子なのかとワクワクさせられる。切ってみると、皮の中には白羊羹がぎっしりと詰まっていて、半透明に輝く橙色の皮とのコントラストがとても美しい。

食べてみると、夏みかんの皮に含まれる爽やかな香りが口いっぱいに広がる。糖蜜がたっぷり染み込んだ皮は、甘さの中に夏みかんらしいほろ苦さも残る。白羊羹も夏みかん風味に味付けされており、上品な甘さ。皮と白羊羹が互いに引き立て合いながら、調和のとれた美味しさを作り出している。

目にした時のインパクトと、口にしたときの繊細な味わい。二つの感動をくれる「夏蜜柑丸漬」は、贈り物にぴったりの一品といえる。

機械には真似できない熟練の技と感覚

江戸時代の城下町の面影を色濃く残す萩市。その一角に店を構えるのが、安政5年(1858年)創業の夏みかん菓子の老舗「光國本店」だ。

「夏蜜柑丸漬」は、3代目・光國義太郎さんの手によって大正5年(1916年)に創製された、100年もの歴史を誇る商品である。

「いまでも当時の製法そのままに、丸5日間かけて、一つひとつ手作業で作っています」と話すのは、義太郎さんの娘で、4代目女将として店を切り盛りする光國良子さん。「夏蜜柑丸漬」の技法は現在、良子さんの夫(4代目)と息子(5代目)によって受け継がれているという。

使う道具は、特製のカンナやノミなど、まるで大工道具のよう。まずはカンナで「鬼皮」と呼ばれる夏みかんのゴツゴツとした表皮を1mmほど削る作業から始まる。初代が生み出したこの繊細な技によって、硬くて食べられないとされていた皮が美味しく食べられるようになるという。次にノミを使って、穴を開けた底部から中の実をくり抜く。

そうして中が空洞になった丸ごとの皮を、二晩かけてしっかりとアク抜きした後、糖蜜で煮込む。この糖蜜は、「夏蜜柑丸漬」の誕生以来継ぎ足しで使われ、100年分のエキスが溶け込んだもの。その皮の中に白羊羹を流し込み、固まったら表面にグラニュー糖をまぶして、半日ほど落ち着かせたら出来上がりだ。

手間暇はかかるが、収穫時期によって状態の異なる夏みかんを常に美味しい菓子に仕上げるには、手作業でなくてはならないと良子さんはいう。

「例えばアク抜きの際、夏の熟した柔らかい夏みかんを冬の硬い夏みかんと同じ時間で湯がいてしまっては、溶けてしまいます。手でちぎって確かめて、職人の感覚で仕上がりを決めているんです。そんなふうに、季節を追いながら日々変わっていく夏みかんの状態に合わせ、作り方も少しずつ変えています。機械ではできない、昔ながらの職人技です」。

お土産にも慶事にも。風土の味が決め手の縁起菓子

「光國本店」では、萩市以外の夏みかんは使わない。その理由を良子さんは次のように教えてくれた。

「昔、萩の夏みかんの不作が2年続いた時、四国から取り寄せたことがありました。歴史を調べたら、萩の夏みかんをルーツとしていることがわかって。でもね、やっぱり味が違ったんですよ。同じ夏みかんなのに不思議ですよね。やっぱり萩の夏みかんじゃないとダメなんだと、その時思い知りました」。

明治の初め、困窮する士族の救済事業として栽培が始まった萩の夏みかん。萩の地の歴史と風土によって育まれてきたその味を大切に守り続ける「光國本店」の「夏蜜柑丸漬」は、まさに“萩ならでは”のお土産として、多くの観光客の人気を集めている。

「明治維新を背景とした歴史的ドラマの風情を感じられるからと、遠方から『夏蜜柑丸漬』を目当てに来てくださるお客さんも多いですよ。帰ってから美味しかったと手紙をくださる方もいます」と、良子さんは嬉しそうに話す。

一方、地元では結納や結婚などのおめでたい席に用いられることも多いそうだ。

「丸い形は角がないので、『角が立たず夫婦円満に過ごせますように』という願いを込めて使われています。それから夏みかんというのは、5月になると黄色い親の実の側で、子どもが小さな花を咲かせるんですよ。代が絶えることがないというのも、縁起が良いとされる理由の一つです」。

贈り物にぴったりの縁起づくしの素材に、伝統の技を掛け合わせた「光國本店」の「夏蜜柑丸漬」。萩ならではの歴史の味を、ぜひ丸ごと味わってみてほしい。

Writer : AYAKO KOMATSU / Photographer : CHIE MARUYAMA 
※掲載されている一部の画像については、取材先よりご提供いただいております。

光國本店

住所:山口県萩市熊谷町41
TEL:0838-22-0239
URL:http://www.mitsukuni-honten.com/